総合スーパーマーケット(GMS)では、自転車を取り扱っていることもあります。実際のところ自転車売場はどういう仕事をしたりするのか、将来性はあるのか、詳しく説明します。
自転車売場(サイクル売場)について
自転車売場・サイクル売場は、総合スーパーマーケットのみでの扱いですが、取扱品目・取扱商品から説明します。
自転車売場なんだから、自転車じゃないの?と思うかもしれませんが、自転車以外のものも取り扱っている場合があります。
自転車売場の取扱商品(取扱品目)

自転車売場は自転車および自転車関連商品を取り扱います。
- 一般自転車
- スポーツサイクル
- 子ども用自転車
- 三輪車(一部)
- 電動アシストサイクル
- フル電動サイクル(扱い注意)
- 自転車関連品(カゴやヘルメット、鍵)
- 自転車パーツ
- サイクルウエア
一部の総合スーパーマーケット(GMS)ではフル電動サイクルの扱いを行っていますが、フル電動サイクルは大きく2つに分かれます。
- 特定小型原動機付自転車
- 原動機付自転車
「特定小型原動機付自転車」は有名なものだとLUUP等の電動キックボードがありますが、自転車タイプもあります。
16才以上なら運転免許不要でヘルメットは努力義務のため、少しずつ利用する人が増えており、自転車売場での取扱も一部行われています。
特定小型がつかない「原動機付自転車」はいわゆる「原付きバイク」扱いで、運転免許証が必要であり、ヘルメットは必須です。こちらは自転車売場では基本的には扱いませんが、一部のディスカウントストアでは販売されています。
条件次第で自転車売場で販売出来るもの

自転車売場を作るのに免許そのものは不要です。
ただし自転車の「自賠責保険」と言われることもある「TSマーク」は「自転車安全整備士」が整備した自転車にしか貼ることが出来ないため、TSマークを取扱う(販売する)ためには「自転車安全整備士」の資格を持った人が必須となります。
ただ店舗に1人しか自転車安全整備士がいない場合、その人がいない間はTSマークを販売することが出来なくなります。
地域で扱うこともあるもの

雪が積もる地域は、冬季は全く自転車が売れません。パンク修理で持ち込まれることもほとんどなく、自転車売場が冬季は閉鎖されている場合もあります。
そんな時に自転車売場の人は何をしているのか?と言えば他の売場の応援をしていたり、下記のものを販売していたりします。
- 除雪機
- スタッドレスタイヤ
- 除雪用品全般
自転車売場の仕事内容
社員・パート・アルバイトによって仕事内容は変わりますが、一般的な社員とパート・アルバイトの仕事内容です。
自転車売場の社員の仕事内容
基本的に社員の仕事は、計画販売と発注等ですが、主な仕事は下記となります。
- 販売計画の作成(月間・週間)
- 店で行われる会議への出席
- 商品部が主催する会議への出席
- レイアウト作成
- 商談(主に中小規模のスーパー)
- 書類関係の仕事全般
- 演出
- 発注業務
- 商品の店出し(商品を並べる)
- 値下げ・見切り業務
- 管理業務(在庫管理 等)
- POP作成
- お客さん対応(接客含む)
- クレーム処理
- 自転車整備
- 清掃業務
- 他の部署への応援(レジ含む)
パートの仕事内容
パートの仕事内容は、スーパーマーケット(会社)によりかなり異なります。
中規模のスーパーマーケットだと自転車を担当する社員が1人のみ、もしくはいないということは普通にあり、社員の代行として実質的に社員と同じ内容の仕事を求められることがあります。
ただし一般的なパートの仕事内容は下記のことが多いです。
- 店で行われる会議への出席(社員不在時)
- 商品部が主催する会議への出席
- 発注業務
- 商品の店出し(商品を並べる)
- 値下げ・見切り業務
- 管理業務(在庫管理 等)
- POP作成
- お客さん対応(接客含む)
- クレーム処理
- 自転車整備
- 清掃業務
- 他の部署への応援(レジ含む)
自転車売場が暇な時はレジ担当としてレジを見ていることもよくあります。
アルバイトの仕事内容
アルバイトの時間帯・契約時間にもよりますが、基本的には社員とパートのフォロー的業務ということが多くなっています。
具体的には下記の仕事が多いです。
- 商品の店出し(商品を並べる)
- 値下げ・見切り業務
- お客さん対応(接客含む)
- クレーム処理
- 自転車整備
- 清掃業務
- 他の部署への応援(レジ含む)
自転車売場という仕事の将来性や店での貢献度
自転車売場という仕事の将来性や店での貢献度をチャート図にしてみました。
自転車売場担当の出世度
GMSの場合、最初はどこに配属されても出世度は基本的に変わりません。
ただし自転車売場のみに固執してしまうと出世は遠のくかもしれません。自転車以外の売場も覚えていかないと出世は厳しいかもしれません。
自転車売場担当の転職有望度
同じスーパーマーケット業界では壊滅的に難しいです。
ただし似た業種、ホームセンターや自転車専門店、自転車も扱うディスカウントストアということであれば、それほど難しくはありません。
ただし「自転車安全整備士」の資格を取得していないと厳しい場合が増えています。
自転車売場担当の大変さ
何を持って大変と見るか?ということもありますが、食品に比べればそれほど大変ということもありません。
ただし手はかなり汚れますし、場合によっては油臭くなります。またパンク修理が多いと手荒れがひどくなります。
自転車売場担当の面白さ
何に面白さを見出すか?ということにもよりますが、技術を磨くことに面白みを感じられる人なら面白いと思います。
ただ職人的な方向へ進みすぎるとマーケティング的な面白さに興味が持てなくなり、出世が厳しくなるかもしれません。
自転車売場の売上
立地を含めた店舗特性にもよりますが、基本的には足を引っ張ることが多い売場です。
自転車が毎日何台も売れるということはあまりないため、下手をすれば1日の売上が数千円ということもあり、売上よりも人件費の方が高いという日もあります。
自転車売場の粗利
自転車そのものの粗利率は高くなく、自転車売場の利益を支えるのは修理です。
駅前立地でパンク修理が多かったりすれば粗利も多くなりますが、修理が少ない店舗だとマイナスということもありえます。
自転車売場の営業利益
自転車売場は整備に人がどうしても必要になるため、人件費がかさみますが売上はあまりないため、営業利益はマイナスということもよくあります。
自転車売場の人件費
自転車の整備・修理という意味では技術が必要なため、教育も含めて人件費は高くなる傾向にあります。
自転車売場を閉鎖するスーパーマーケットも少なくありません。
自転車業界の展望
スーパーマーケットの自転車売場に関わらず、自転車業界の展望を軽く説明しておきます。
街の自転車屋は激減
個人運営もしくは法人化しているけど社員は家族のみという小さな街の自転車屋は全国的に激減しています。
大手自転車チェーン店がシェアを伸ばしているということもありますが、店主の高齢化で閉店ということが大きいです。
今でも街で残っている自転車屋は、割と法人契約をしていることが多く、そのためにどうにか営業出来ているということもあります。
法人契約とは、例えば郵便局の配達用の自転車を納品・修理を契約しているというようなものです。
これがなければ潰れている自転車屋は割とあります。
自転車業界の売上は右肩上がり
街の自転車屋が減ってきているということで、自転車業界そのものの売上が減っていると思うかもしれませんが、自転車業界の売上自体は右肩上がりで今後しばらくは伸びていくと言われています。
ただし自転車の販売台数が増えている訳ではありません。
でも売上が増えている理由は「電動アシストサイクル」の売上が非常に伸びているからです。
免許不要で乗れる電動アシストサイクルは、免許返納した高齢者にも人気ですし車を持てない層が普段の買物の足として利用することが増えています。
10年前は電動アシストサイクルは非常に高く買う人も少なかったですが、バッテリー技術が向上し値段も落ちてきたことで購入者が増えたということも大きな理由です。
転職を優位に進めるために
自転車を販売・修理する仕事につきたい、ということが前提で転職を優位に進めるためには、まずは「自転車安全整備士」の資格を取得することが重要です。
自転車安全整備士になるためには2年以上の実務経験が必要です。その上で最近売上が上がっている電動アシストサイクルに関する資格(電動アシスト自転車整備士検定)を有しているとかなり転職には優位になります。
独立開業を目指す場合は、自転車のみだと難しい場合もあるので、バイクの扱いということでバイク整備士(国家資格)の資格を有していることも必要になります。
自転車売場に関する補足事項・Q&A
上記で説明してきたこと以外で自転車売場に関する疑問点に思うであろうことや補足事項です。
- Q利益が出にくいのになぜ自転車売場を作るの?
- A
絶対に利益が出ない訳ではなく、黒字になっている自転車売場もあります。また自転車売場で利益が出なくても自転車売場があることで差別化となりお客さんが増えれば良い、お客さんから支持されれば良いという考え方もあります。
例えば駅前立地のスーパーマーケットなら自転車の鍵を落とした、自転車がパンクしたという時に自転車売場があればお客さんが来てくれるし、修理中に買物もしてもらえます。
- Q自転車専門店とスーパーマーケット等の自転車売場、就職するなら?
- A
何を目指しているのか?ということによるので、一概には決められません。ただし自転車ショップを自分で開業することが目標なら自転車専門店の方が良いです。
スーパーマーケットやスーパーセンター、ディスカウントショップの自転車売場に行きたい理由が別にないのであれば、自転車専門店の方が良いでしょう。
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