農産(青果)の仕事・職務内容と将来性

農産(青果)の仕事・職務内容と将来性 食品売場

スーパーマーケットで最初に目のつくことが多い農産売場・青果売場、社員からアルバイトの募集までよく行われていますが、実際の仕事や取扱品目にはどんなものがあるのだろう?と思った方へ、「農産売場・青果売場」の仕事・職務内容について詳しく説明します。

お客さんの買上げ点数を左右することも多く、非常に大切な部門です。

農産・青果部門の取扱商品(取扱品目)

農産・青果売場の取扱商品・品目は想像出来る方も多いですが、スーパーによっては差があります。

農産・青果部門の取扱商品(取扱品目)

農産売場の果物(なし)

農産(青果)コーナーの取扱商品(取扱品目)は、野菜・果物が基本です。野菜は葉物野菜と呼ばれるレタスやキャベツ、根菜と呼ばれる大根や人参、芋類などがメインですが、最近ではカット野菜も多く取り扱われるようになってきています。

スーパーマーケットで差がある農産・青果コーナーの取扱品目

パック入の野菜

スーパーマーケット(会社)によって農産・青果部門の取扱商品だったり、取扱商品ではなくなるものもあります。

  • カット野菜等のパックされた並べるだけの野菜(日配での取扱の場合もあり)
  • 山菜や筑前煮用の水煮された野菜(日配での取扱の場合もあり)
  • ドライフルーツ(基本はグロッサリーだけで農産でも取扱がある場合も)
  • 花(主に切り花)は農産部門が担当なことが多い(中小スーパーほど多い)
  • 一部調味料(基本はグロッサリーだけど農産でも取扱がある場合も)
  • 冷凍野菜は基本的に日配が担当

日持ちはしないけど並べるだけの野菜類はスーパーマーケットによっては日配が担当していることも中小スーパーマーケットではたまにあります。

ドライフルーツや一部調味料(キャベツのタレとか一部ドレッシング)はグロッサリー(加工食品)が取り扱っていますが、農産部門でも取り扱っている場合があります。

陳列するには要冷蔵のドレッシングが一部スーパーマーケット等で扱われていますが、そういう要冷蔵のドレッシングは農産部門の取扱ということが多いです。

花は中小のスーパーマーケットでも仏花を中心に取り扱っていますが、基本的には農産が担当していることが多いです。

ただし鉢植えの植物や園芸用の土や肥料まで大規模に扱っている場合は、園芸担当の部署として取り扱っていることが多くなります。

農産・青果部門の仕事内容

社員・パート・アルバイトによって仕事内容は変わりますが、一般的な社員とパート・アルバイトの仕事内容です。

農産の社員の仕事内容

基本的に社員の仕事は、計画販売と発注等ですが、主な仕事は下記となります。

  • 販売計画の作成(月間・週間)
  • 食品全体・店全体で行われる会議への出席
  • 商品部が主催する会議への出席
  • レイアウト作成
  • 商談(主に中小規模のスーパー)
  • 書類関係の仕事全般
  • 演出
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • POP作成
  • お客さん対応(接客含む)
  • クレーム処理
  • 加工処理(野菜のカットやパック詰め)
  • 仕入れ
  • 清掃業務

日配グロッサリーではまず仕入れという業務は発生しませんが、農産や水産に限って言えば仕入れという業務が発生することがあります。

スーパーマーケットによっては農産の担当者(責任者)が、地域の市場や契約農家に買付に行く仕入れという業務を行っていることがあります。

野菜や果物はどうしても地場のモノ、新鮮なモノが売れる傾向にあるので、通常の発注で仕入れられる商品のみでは売上が取れなかったり、他のスーパーマーケットとの差別化が出来ないためです。

他の業務について、例えばスーパーマーケット(会社)によっては、POP作成業務は一切行わない・行わせてもらえない場合もあります。

販売計画は52週マーチャンダイジングという考え方の元、エンド平台でどういう商品を売り込むのか?ということを中心に計画書を作成します。ただし会社本部の指示通りに行うだけの会社もあり、それだと仕事そのものにあまり面白さを感じないかもしれません。

商談は大手スーパーマーケットの場合は、まずすることはありません。むしろ中小規模のスーパーマーケットの方が行います。というのも、大手スーパーマーケットの場合、商談は商品部の仕事であり店舗単位で行うことが禁止されている場合もあるからです。

どうしても商談がしたい場合は、商品部経由で依頼することが多くなっています。

パートの仕事内容

パートの仕事内容は、スーパーマーケット(会社)によりかなり異なります。

中規模のスーパーマーケットだと農産を担当する社員が1人のみということは普通にあり、社員の代行として実質的に社員と同じ内容の仕事を求められることがあります。

ただし一般的なパートの仕事内容は下記のことが多いです。

  • 食品全体・店全体で行われる会議への出席(社員不在時)
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • お客さん対応(接客含む)
  • 加工処理(野菜のカットやパック詰め)
  • 清掃業務
  • 残った野菜・果物のバックルーム移動

ほとんどは加工処理と店出しがメインとなります。

加工処理は例えばキャベツ1玉を半分に切ったり、玉ねぎを1~5kgの間で指示された分量を袋詰したり、カットフルーツを作ったりという内容です。

アルバイトの仕事内容

アルバイトの時間帯・契約時間にもよりますが、基本的には社員とパートのフォロー的業務ということが多くなっています。

具体的には下記の仕事が多いです。

  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • お客さん対応(接客含む)
  • 加工処理(野菜のカットやパック詰め)
  • 清掃業務
  • 残った野菜・果物のバックルーム移動

職人的な技術を覚えられる農産

野菜や果物のカットは一見、誰でも出来そうな業務ですが、売物とする場合はそれなりの技術が必要になってくることが多いです。

そのため野菜・果物に関する職人的な技術が覚えられる部署とも言えます。

接客対応で、指定された果物の詰め合わせを作ったり、カットしたりする場合も詰め合わせの技術や果物のカットの技術が身につきます。

残った商品(野菜・果物)のバックルーム移動

他のスーパーマーケットの部署では存在しない残った商品(野菜・果物)へのバックルームへの仕舞い込み・品引きという日々の業務が農産では発生します。

ある程度は日持ちはするけど、温度や湿度管理が必要な野菜や果物を閉店間際もしくは閉店後にバックルームの保湿機能のある冷蔵庫へ片付けるという作業が農産の場合はあります。

レタス等の葉物野菜は数日は販売出来ますが、乾燥しやすい店内だとそのまま一晩売場に置いたままにすると萎びてきてしまうために、萎びないように保存出来る冷蔵庫に移動させる訳です。

他にも大根やイチゴ、葡萄なども冷蔵庫に移動させることがあります。

お客さん対応(接客含む)

売場で商品を陳列することが多いため、どうしてもお客さんに話しかけられて対応・接客は発生します。

基本的には商品の場所を聞かれて案内することが8割以上ですが、迷子の対応や体調不良になった方への対応、クレームを受けるということもあります。

花ギフトも担当

主に母の日の「カーネーション」等の花がメインですが、花ギフトの担当する場合が農産担当にはあります。

後は年末年始の花ギフトやお彼岸時期の仏花の需要期はかなり大変な状況となることもあります。

農産という仕事の将来性や店での貢献度

農産(青果)という仕事の将来性や店での貢献度をチャート図にしてみました。

農産担当の出世度

農産に配属された場合、今後の出世にどれぐらい影響するか?と言えば影響はありません。

たまにスーパーマーケットの食品の花形部署は惣菜売場(デリカ)という人もいますが、それは小型のスーパーマーケットのことであり、中規模~大規模だと関係ありません。

なお上昇志向が強い場合は、如何に売場を目立たせて売上を大きくするか?ということが大切です。詳しくは、農産の売上で説明します。

農産担当の転職有望度

同じスーパー業界への転職の場合、農産は募集割合が高いため転職もしやすい部門です。

ただ純粋な農産のみだと軽く見られてしまうこともあるため、花ギフトにも強かったり何か強みを1つでも持っているとより転職しやすくなります。

他業種への転職であれば、花や家庭菜園に強ければホームセンターへの転職も可能です。農産物に関する知識は割と有利です。

また農産加工品のメーカーにも転職は比較的有利です。主に営業職となりますがスーパーマーケットで農産を担当していたという強みがあります。

農産担当の大変さ

何を持って大変と見るか?ということもありますが、他の生鮮部門に比べれば匂いがそれほどきつくない分、大変ではないと言えます。

ただしじゃがいもとか玉ねぎとか重たいものを何回も運んだりと、重たいものを上げ下げするので、腰痛に悩まされる人が多くなっていますが、これはスーパーマーケットで働く人の多くが経験していることです。

また作業場(バックルーム)は寒いので、冷え性の人にはキツいかもしれません。

そして硬いかぼちゃ等を1日に何個も切ることがあると腱鞘炎になる人もいます。

それでも水産や惣菜(デリカ)に比べるとまだマシと言われる職場です。

農産担当の面白さ

何に面白さを見出すか?ということにもよりますが、技術を磨くことに面白みを感じられる人なら面白いと思います。

ただ職人的な方向へ進みすぎるとマーケティング的な面白さに興味が持てなくなり、出世が厳しくなるかもしれません。

農産の売上

農産の売上は一般的な食品メインのスーパーマーケットにおいて7部門の中で約16%くらいとなっています(7部門は下記の図を参考)

スーパーマーケットの基本7部門

売上は7部門の中では3番目になっていることが多いです。

青果水産畜産惣菜日配品加工食品非食品合計
16.3%11.4%13.3%10.1%17.9%25.5%5.4%100.0%

*出典:統計・データで見るスーパーマーケット

上記が一般的な食品メインの売上構成比です。

スーパーマーケットの地域性・特異性によっては水産や畜産に負けてしまうことがありますが、逆に日配品よりも売上高が多い場合もあります。

出世思考が強いのなら日配以上の売上規模を目指してみるのが良いでしょう。

農産の粗利

農産の粗利率自体は、他の部門に比べて高くはありません。平均すると各部門ごとの粗利率は下記のようになっています。

農産水産畜産惣菜日配加工食品非食品
22.80%28.10%28.40%36.60%22.80%19.30%20.50%

農産部門は戦略的に粗利よりも売上を重視する傾向がスーパーマーケット業界ではよくあります。

というのも店内に入って一番最初にあるのが農産であり、農産で高いイメージを持たれてしまうと他の売場にも影響するため、粗利を抑えてでも安く売る傾向にあるからです。

農産の営業利益

農産は日配やグロッサリーに比べると作業する人員が多い分、営業利益は少なくなる傾向にあります。

また粗利率を抑えてでも安く見せる傾向にあるため、営業利益も低くなってしまう傾向にあります。

だからこそ廃棄する商品を減らして利益率を高めれば評価されやすくなります。

農産の人件費

農産は先述した通り作業人員が必要なため人件費が高くなる傾向にあります。ただし水産や惣菜(デリカ)よりは抑えられることが多くなっています。

農産に関する補足事項・Q&A

上記で説明してきたこと以外で農産・青果部門に関する疑問点に思うであろうことや補足事項です。

Q
虫が苦手な人は農産に不向き?
A

野菜には芋虫がつきもので、1虫を見ないでいられるということは絶対にありません。他にもナメクジや花であれば蜂などもついている場合もあります。

虫が苦手な人だと農産は不向きと言えます。

Q
グリナリーって何?
A

たまにスーパーマーケットのアルバイト・パート募集でグリナリーという言葉が使われていますが、これは「農産」という意味の時もあれば「花」という意味があったりして、スーパーマーケットによって異なります。ただし多くは「花」を扱うガーデニング・園芸売場のことが多いです。

または農産の中でも花担当という意味の時もあります。

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