スーパーマーケットへの就職・転職もしくはアルバイト・パート情報で「グロッサリー部門・加工食品」の募集を見たけど、グロッサリーって何を扱ってどういう仕事をするところだろう?と思った方へ、「グロッサリー部門・加工食品」の仕事・職務内容について詳しく説明します。
スーパーマーケットの中では、花形部署と言われることもあり、食品で最も売上・利益を上げている場合も多い部署です。
グロッサリーの意味と取扱商品(取扱品目)
グロッサリー部門・加工食品の取り扱い品目から説明します。なおスーパーによってはグロッサリーと言わずに「加工食品・一般食品」という場合もあります。
グロッサリーの意味

グロッサリー(grocery)とは、英語で「食料品」を意味する言葉で、グロサリーともグローサリーとも言う(発音する)場合があります。
スーパーマーケットにおいては、日持ちがする要冷蔵・要冷凍では無い食品のことを指すのが一般的です。
ただし一部のスーパーマーケット(主に中小のスーパーマーケット)では、トイレットペーパーや洗剤などの日用消耗品も含める場合があります。
大手スーパーマーケットだとほとんどが日用消耗品は日雑・ノンフーズという別の部門にしていることが多くなっています。
グロッサリーはスーパーによっては「加工食品」「一般食品」という名称に変わっていることもあります。
グロッサリーの取扱商品(取扱品目)

グロッサリーは日持ちがして、要冷蔵・要冷凍では無い食品全般を取り扱う部署です。
つまり農産(青果)・水産(魚)・畜産(肉)・日配(デイリー)・惣菜(デリカ)で扱う商品以外すべてと言えます。
具体的には下記の商品がグロッサリー部門の担当となることが多くなっています。
- 調味料(醤油や塩、マヨネーズ 等)
- お菓子(日持ちがするもののみ)
- お米
- ペットボトルや缶ジュース等の飲料
- 乾物(鰹節や煮干し、ゴマ等)
- 缶詰
- レトルト食品
- 酒類
スーパーマーケットの中で、壁沿いではない・棚に並んでいる商品のほとんどがグロッサリーで扱っている商品ということが多いです。
箇条書きでグロッサリーの取扱商品の特徴を書き出すと下記のようになります。
- 日持ちする(最低でも1ヶ月は消費期限がある)
- 要冷蔵ではない(冷やさなくてOK)
- 要冷凍ではない(冷凍しなくてOK)
- 店内で加工して販売する商品はない
だいたいイメージ出来たと思います。
スーパーマーケットで異なるグロッサリーの取扱商品

スーパーマーケットによってグロッサリーの取扱商品・取扱品目が異なっている場合もあります。
- 酒類:大型スーパーだと酒類は酒専門の部署がある場合も
- 食品ギフト(お中元・お歳暮):食品ギフトはグロッサリーが担当している場合も
- 日用消耗品:小さなスーパーだと日用消耗品はグロッサリーが担当している場合も
食品ギフトでも基本は調味料・油のセットであったりビール等のギフト用品がメインです。
グロッサリーの仕事内容
社員・パート・アルバイトによって仕事内容は変わりますが、グロッサリー部門における一般的な社員とパート・アルバイトの仕事内容です。
社員の仕事内容
基本的に社員の仕事は、計画販売と発注等ですが、主な仕事は下記となります。
- 販売計画の作成(月間・週間)
- 食品全体・店全体で行われる会議への出席
- 商品部が主催する会議への出席
- レイアウト作成
- 商談(主に中小規模のスーパー)
- 書類関係の仕事全般
- 演出
- 発注業務
- 商品の店出し(商品を並べる)
- 値下げ・見切り業務
- 廃棄業務
- 管理業務(在庫管理・什器の管理 等)
- POP作成
- お客さん対応(接客含む)
- クレーム処理
スーパーマーケット(会社)によっては、POP作成業務は一切行わない・行わせてもらえない場合もあります。
販売計画は52週マーチャンダイジングという考え方の元、エンドや平台でどういう商品を売り込むのか?ということを中心に計画書を作成します。ただし会社本部の指示通りに行うだけの会社もあり、それだと仕事そのものにあまり面白さを感じないかもしれません。
商談は大手スーパーマーケットの場合は、まずすることはありません。むしろ中小規模のスーパーマーケットの方が行います。というのも、大手スーパーマーケットの場合、商談は商品部の仕事であり店舗単位で行うことが禁止されている場合もあるからです。
どうしても商談がしたい場合は、商品部経由で依頼することが多くなっています。
パートの仕事内容
パートの仕事内容は、スーパーマーケット(会社)によりかなり異なります。
中規模のスーパーマーケットだとグロッサリーを担当する社員が1人のみということは普通にあり、社員の代行として実質的に社員と同じ内容の仕事を求められることがあります。
ただし一般的なパートの仕事内容は下記のことが多いです。
- 食品全体・店全体で行われる会議への出席(社員不在時)
- 発注業務
- 商品の店出し(商品を並べる)
- 値下げ・見切り業務
- 廃棄業務
- 管理業務(在庫管理 等)
- お客さん対応(接客含む)
グロッサリーは取扱商品数が非常に多いため、パートも担当部門を持ち、普通に発注業務は行うのが一般的です。
アルバイトの仕事内容
アルバイトの時間帯・契約時間にもよりますが、基本的には社員とパートのフォロー的業務ということが多くなっています。
具体的には下記の仕事が多いです。
- 商品の店出し(商品を並べる)
- 値下げ・見切り業務
- 廃棄業務
- 管理業務(在庫管理 等)
- お客さん対応(接客含む)
夕方から夜のバイトだと店出し専門になっていたり、賞味期限の近い商品の値下げ・見切り業務(値下げシール・割引シールを貼る等)を行います。
朝の1~3時間のみのバイトだと商品の店出しと値下げ・見切り業務や売れ残って廃棄しなければいけない商品の廃棄業務がメインとなります。
グロッサリーの発注は修正業務が一般的
他の食品は発注業務はまさに商品の発注数を日々調整することがメインとなりますが、グロッサリーの場合は発注というよりは発注数の修正が大手スーパーマーケットを中心にメインになることが多くなっています。
というのもグロッサリーはある程度売れたら自動的に発注がかかる仕組みになっており、そもそも日々の発注業務というものが他の食品部署に比べると非常に少なくなっています。
ただし在庫数は(ストコンの)帳簿上で管理している数と実際の数の差が合わなくなってきます。というのも万引きや破損品の処理忘れがどうしても発生してしまうためです。
また伝票そのものの数が間違っていることも稀に発生します。
だから実際の数と帳簿上の数が合わない時などに発注数の修正・在庫数の修正という業務が発生するので、それがグロッサリーの発注業務とも言えます。
もちろん売り込みたい商品や時期・店舗特性によって極端に売れる商品などの追加発注という業務もあります。
お客さん対応(接客含む)
売場で商品を陳列することが多いため、どうしてもお客さん対応・接客は発生します。
基本的には商品の場所を聞かれて案内することが8割以上ですが、迷子の対応や体調不良になった方への対応、クレームを受けるということもあります。
グロッサリーという仕事の将来性や店での貢献度
グロッサリーという仕事の将来性や店での貢献度をチャート図にしてみました。
グロッサリー担当の出世度
グロッサリーに配属された場合、今後の出世にどれぐらい影響するか?と言えば影響はありません。
たまにスーパーマーケットの食品の花形部署は惣菜売場(デリカ)という人もいますが、それは小型のスーパーマーケットのことであり、中規模~大規模だと関係ありません。
なお上昇志向が強い場合、一般的な食品メインのスーパーマーケット7部門の中で圧倒的な営業利益や粗利額を上げることが出来れば、評価されやすくなります。7部門については後述しています。
グロッサリー担当の転職有望度
同じスーパー業界への転職の場合、グロッサリーはよく募集されていることが多いです。というのも店で一番の売上がある部署なので、有能な人を常に求めていることが多いからです。
またグロッサリーの仕事的に、ホームセンターやアパレル系のショップにも応用が効きやすいので商品知識さえどうにかなれば、転職の幅は広くなります。
ただし中小規模だと誰でも出来る仕事と勘違いされてしまっている場合はあり、軽く見られる傾向にあるかもしれません。
そしてグロッサリーからだとメーカーの営業職が比較的転職しやすい職種になっています。
またきちんとマーケティング能力を高めていれば30代前半までならコンサルティング会社への転職も可能な職種となっています。
グロッサリー担当の大変さ
何を持って大変と見るか?ということもありますが、生鮮4部門に比べれば匂いがついたりしない分、大変では無いと言えます。
ただし5kgや10kgのお米やペットボトル6本入ケース等、重たいものを上げ下げするので、腰痛に悩まされる人が多くなっていますが、これはスーパーマーケットで働く人の多くが経験していることです。
グロッサリーに勤めて3年以上経過した人で腰痛に悩まされない人の方が珍しいです。
グロッサリー担当の面白さ
何に面白さを見出すか?ということにもよりますが、マーケティング的な根拠に基づいた発注に面白さを見出す人なら非常に面白い売場です。
生鮮4部門のような技術を覚えたいという人には面白みは欠けるかもしれません。
グロッサリーの売上
グロッサリーの一般的な食品メインのスーパーマーケットにおいて7部門の中で約25%くらいとなっています(7部門は下記の図を参考)。これは食品フロアの4分の1もの売上となっています。

他の部門の売上構成比は下記の通りです。
青果 | 水産 | 畜産 | 惣菜 | 日配品 | 加工食品 | 非食品 | 合計 |
16.3% | 11.4% | 13.3% | 10.1% | 17.9% | 25.5% | 5.4% | 100.0% |
上記が一般的な食品メインの売上構成比です。
グロッサリーの粗利
グロッサリーは粗利率自体は、他の部門に比べて高くはありません。平均すると各部門ごとの粗利率は下記のようになっています。
農産 | 水産 | 畜産 | 惣菜 | 日配 | 加工食品 | 非食品 |
22.80% | 28.10% | 28.40% | 36.60% | 22.80% | 19.30% | 20.50% |
生鮮4部門が粗利率が高くなるのは当然なので、あまり気にしなくて構いません。
ただし売上規模が日配とあまり変わらないと粗利率の低さから、店への貢献度で言えば低くなってしまうので、日配に負けない売上・粗利額が必要です。
グロッサリーの営業利益
グロッサリーは生鮮4部門や加工食品よりも人件費を抑えられる傾向にあります。そのため粗利率は低くても最終的な営業利益は、スーパーマーケットの各部門の中で最も高くなる場合もあります。
ただしグロッサリーは売上規模が大きい上に売り場面積も広いため、他の部署が社員1人に対して、グロッサリーのみ社員2人体制ということもあるため、日配には営業利益として及ばなくなることが時折発生してしまいます。
グロッサリーの人件費
グロッサリーは先述した通り、人件費を最も抑えられる傾向にあります。
これは当然で、生鮮4部門と違い、店内で加工・製造をするということが無いため、生鮮4部門に比べると人そのものが少なくなるためです。
結果として人件費が抑えられて営業利益そのものは非常に大きくなります。ただし社員2名以上の体制になり油断していると日配よりも人件費の分、粗利額は低くなることがあるので、日配に負けない売上・粗利額を目指す必要性が出てきます。
グロッサリーに関する補足事項・Q&A
上記で説明してきたこと以外でグロッサリーに関する疑問点に思うであろうことや補足事項です。
- Qドライグロッサリーって何?
- A
一部のスーパーマーケットでドライグロッサリーとチルドグロッサリーという分け方をしています。チルドグロッサリーはほぼ日配のことです。
温度管理(要冷蔵・要冷凍)が必要な加工食品のことをチルドグロッサリーという場合があります。温度管理が必要ない加工食品のことをドライグロッサリーと言いますが、ほとんどのスーパーはこのドライグロッサリー・チルドグロッサリーという言葉を使っていません。この言葉を使っているのある程度の規模のスーパーマーケットだと「ヤオコー」くらいだと思います。
- Qステープル部門はグロッサリーのこと?
- A
極稀にスーパーマーケットで「ステープル部門」という名称の売場があります。
ステープル部門は基本的に「グロッサリー」のことですが日配(デイリー)と組み合わせている場合もあります。
ステープルとは「ステープル商品」のことで基本的には「定番商品」という意味で、生鮮食品のように取扱う商品の言動がないものをこの場合は指しています。
- Q学生アルバイトでグロッサリーはおすすめ?
- A
夕方から夜にかけてグロッサリーの学生アルバイトを募集しているスーパーマーケットは非常に多くなっています。
仕事内容のほとんどは店出し(商品陳列)で、重たいものがあるということを除けば比較的簡単な仕事内容なので、体力に不安がなければおすすめです。
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