スーパーマーケットで店員さんに商品の場所を聞くと「エンドにあります」と不親切に教えられた経験を持つ人もいるのではないでしょうか?
スーパーマーケットにおける「エンド(エンド陳列・エンド展開)」とは何か紹介します。
エンド(エンド陳列・エンド展開)について
エンドはスーパーマーケットにおいて非常に重要な商品の陳列場所です。
エンドとは?

エンドとは、スーパーマーケットの通路に面した棚や台のことです。長い陳列棚の先端にある場所のことで、陳列棚の端(最後)にあることからエンドと呼ばれています。
主通路・副主通路に面した場所にあるので目立つ場所にあり売上に影響を及ぼすため、エンドでどういった商品を展開するのか事前に計画するのが一般的です。
なおスロットエンドという場合もあります。スロットとは縦方向に並んでいる陳列棚のことで、その端にあることから「スロットエンド」と呼びます。
エンド陳列とは

エンド陳列とはエンドの別の言い方とも言えますが、エンドにどういう商品を陳列・並べるか考え計画することも含めます。
またはエンドに並んでいる商品のことを指す場合もあります。
エンドに並べられている商品を見て、競合他社の担当者からはセンスが良いとか悪いとか思われることも多々あります。
いつも人気のカレールーが並んでいると、エンド陳列に力を入れてないな…と思われることもあります。
エンド展開とは

エンド展開とは、エンドの使い方を表すことが多いです。例えば売り込むべき商品をどこで売るのか?と上司に聞かれた時に担当者は「エンド展開します」というように答えることも多いです。
またエンド展開計画書を本部・商品部に提出しなければいけないスーパーマーケット(会社)も存在します。
ただしエンド陳列・エンド展開という言葉は、それぞれのスーパーマーケット(会社)によって言い方が変わったり、意味合いが少し異なることも多いので、エンドの意味を知った後は会話のニュアンスで何を求められているか考えることになります。
エンドの名称・種類と役割
エンドにはいくつかの名称・種類や役割があります。
エンドの名称・種類

エンドは場所によって名称が異なります。
- レジエンド
- フロントエンド(レジ側エンド)
- センターエンド(中エンド・中通路エンド)
- バックエンド(奥主通路エンド)
レジエンドの役割

レジエンドは、レジの前にあるエンドのことです。レジを待っている間のついで買い・買い忘れてそうな商品を並べるのが一般的です。
健康ドリンクを並べていたり、寒い時には温かい飲み物を並べていたり、飴やガム・チョコレートなどのついで買いの商品を並べることが多いです。
電池や自治体指定のゴミ袋・コロコロ回してゴミを集める粘着シートなど、買い忘れていそうなものを並べていることも多いです。
つまりレジエンドでは最後の一品を買ってもらう、ついで買いをしてもらうという目的・役割があります。
以前は電池と電球も多かったのですが、電球の種類が増えたことで専門性が増したため、電球を並べるスーパーマーケットはやや時代遅れな部分があります。
また熨斗袋や録画メディア(DVD-RやBlu-ray)も以前はよく置かれていましたが、熨斗袋や録画メディア自体の需要が減ってきているため、熨斗袋をレジエンドに置くスーパーマーケットは激減してきています。
フロントエンド(レジ側エンド)の役割

フロントエンドには持ち運ぶのが大変なお米や水などのペットボトルのケース商品を並べていることが多くなっています。
特にお米やペットボトルのケース商品がチラシに掲載されている時は、必ずここで展開するというスーパーマーケットも存在します。
または売り込みたい商品やプライベートブランドの大量陳列をしていることが多くなっています。
つまり重たいもの、単価の高いものを買ってもらうという役割があります。
センターエンド(中エンド・中通路エンド)

陳列棚と陳列棚の間の副主通路沿いのセンターエンドは、陳列棚に今後並べる新商品の顔見せに使ったり、陳列棚との関連商品を並べたりするのが一般的です。
チラシ商品を並べたり、メーカー企画の商品を陳列することも多くなっています。
また利益率の高いプライベートブランド商品を展開して、利益率の向上を目指しているだろうと推測出来る展開を行っていることもあります。
つまりセンターエンドには中通路に入ってもらうための誘導を行い買上げ点数を上げる役割があります。
バックエンド(奥主通路エンド)

バックエンドは、主通路沿いの主に水産(お魚)売場や畜産(お肉)売場の前にあるエンドです。
例えば畜産コーナーの前のエンドならお肉の味付けに使う味付け用の新商品を展開して、関連販売をしたり、冬なら魚やお肉を使った鍋のために鍋つゆを展開したりするなど、水産や畜産の季節性の商品との連動させたりすることも多いです。
またチラシ商品や新商品、プライベートブランドの大量陳列などを行っていることもあります。
このバックエンドの展開方法で、その店舗の担当者のセンスが問われることもあります。また本部のお偉いさんが来た時に、季節性もなくチラシ商品でもなく惰性で並べているような場合だとかなり怒られることもあったりなかったり…
つまりバックエンドには季節性を出し、関連販売によって店全体の売上アップを図るという役割があります。
エンド展開のポイント
エンドを使うのは基本的にはグロッサリー(加工食品)という部署が多くなっていますが、エンド展開を行う上でポイントとなることがあります。
計画的な展開(52週MD)とローカライズ
7&i系列やイオン系列等の大手スーパーマーケットを中心に52週マーチャンダイジング(52週MD)という商品計画が行われています。
大手小売業を中心にかなり以前からエンドの計画が行われており、それに応じて販促物も発注されていますし、メーカーとの商談も終えて大よその発注数も決まっており、各店舗への商品納入数(投入数)もだいたいが決まっています。
ただ地域差があるため、本部主導の指示書では足りない部分をローカライズさせることが必要です。
また商品部の投入数では足りない場合は、追加発注が必要になってきます。
中小のスーパーマーケットだとかなり差がありますが、前の週に計画しているようではそもそも商品の確保が出来ない可能性があるので、きちんと計画的にエンド計画を作っておくことが重要です。
実際の展開
エンドの形状やエンドに並べる商品によって実際には大きく展開方法が変わってきます。
例えばフロントエンドではパレット等の低い台に山積みだけで終わる場合もあれば、バックエンドでは棚状の什器に商品を綺麗に並べていくことが必要になってきます。
よく地上から120cmの高さがゴールデンゾーンなので、そこを中心に棚の高さを決めてフェイスを決めて、それから在庫を補充すると説明していますが、現場を知らない人の意見です。
120cmというのは確かにエンドで一番目立つ高さですが、実際の店舗で本当に一番目立つかどうかは別問題です。
例えばお客さんの平均年齢が40代の店舗と50代の店舗では客層は全く異なります。
実はお客さんの平均年齢が50代だとすると実際には60才以上の人がメインになります。地方の駅前店舗は高校生以下と高齢者しかほとんどいないということもあるので、平均年齢は50代になっても実際に買物する人の多くは60代70代なんてことがあります。
そしてエンドのゴールデンゾーンの120cmは60代70代の人には高すぎます。100cmがベストになる場合もあります。
店舗特性に合わせて、どのゾーンが一番目立つのか考えることが必要です。
フェイスを決めるといってもエンドの幅は90~180cmの間でほぼ決まっており、商品の横幅でフェイス数は自動的に決まります。
複数の商品を並べる時にどの商品を一番目立たせるか、目立たせる商品のフェイス数を増やすくらいで、特にそこまで意識することはありません。
非食品のエンドの使い方は異なってくる

非食品、例えば日用消耗品やダイニング・キッチン用品等の暮らしの品だとエンドの使い方も変わってきます。
食品ほど回転が早い商品ではないため、計画は1ヶ月もしくはシーズン単位ということもあります。
また十分なスペースが無いためよく売れる商品を並べるスペースになってしまっている場合も多々あります。
しかし最低もシーズン毎には商品を変えていかないと変化が見られない売場で飽きられてしまいます。
出来れば1ヶ月単位、最低でもシーズン(3ヶ月)単位で変更するようにしましょう。
エンドは店舗の顔
エンドについて説明してきましたが、エンドは店舗の顔とも言えるとても重要な場所です。
ここで手を抜いていると競合他社から軽く見られてしまうこともあります。
またお客さんの立場としてもエンドは、その店が何を売りたいのか分かる場所です。
手抜きだと思うようなエンド展開ばかりしているスーパーマーケットなら、担当者が頑張ってないとわかり、店の売上も低下してくるので、店舗全体の鮮度が落ちてお客さん離れが進むことも予想出来ます。
エンド展開はきちんと計画的に何を売り込みたいのかわかる売場にしましょうね。
以上、エンドについてでした。
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