家電売場の仕事・職務内容と将来性

家電売場の仕事・職務内容と将来性 暮らしの品

総合スーパーマーケット(GMS)では、家電を取り扱っていることもあります。実際のところ家電売場はどういう仕事をしたりするのか、将来性はあるのか、詳しく説明します。

スーパーマーケットの家電売場について

家電売場は、基本的に総合スーパーマーケットのみの扱いが多いですが、まずはスーパーマーケットの家電売場の現状から説明していきます。

家電売場があると言えるのは実質イオンのみ

テレビ売場

ディスカウントストアスーパーセンターホールセールクラブを除き純粋に総合スーパーマーケット(GMS)で家電売場と呼べる売場があるのは、実質イオンだけになっています。

他のGMSは家電売場としては既に撤退しており、スーパーマーケットの家電売場で働きたいということになるとイオンしか選択肢はありません。しかし家電売場に配属になるかどうかはまた別問題です。

ディスカウントストア、例えば大きなドン・キホーテなら家電売場と言える売場はありますが、スーパーマーケットという括りには入りません。

スーパーセンター、例えばトライアルも家電売場と言える売場がある店舗もありますが、純粋なスーパーマーケットという括りには入りません。

総合スーパーマーケット(GMS)と言われている、イトーヨーカドー・西友・イズミ(ゆめタウン)は実質的に家電売場は既に存在しません。

家電売場の定義

炊飯器売場

家電売場の定義は明確なものはありませんが、家電売場のライバルを家電量販店とした場合、下記のものを販売していることが家電売場の定義になると思いませんか?

  • デジタル家電・AV家電(テレビやパソコン)
  • 白物家電(冷蔵庫や洗濯機、エアコンから調理家電)
  • スマホ(契約含む)

デジタル家電やスマホの取扱がある総合スーパーマーケットはイオンのみとなっています。

そのイオンもパソコンはほぼ扱ってないため、厳密には家電売場と言って良いのか微妙な部分は出てきています。

もちろん白物家電と呼ばれるものの中で調理家電(炊飯器や電子レンジ、トースター等)と一部照明器具と蛍光管・電池を扱っているスーパーマーケットはまだまだ多くあります。

しかし家電売場とは言わず「キッチン用品売場」の一角で品揃えとしてあるというのが現状で家電売場の担当社員は存在していません。

調理家電(炊飯器や電子レンジ、トースター等)と一部照明器具と蛍光管・電池なら、ニトリや無印良品でも取扱がありますが、家電専門店という認識を持っている人はいません。

またイオンでもここ10年で家電売場をなくした店舗はいくつかあります。

イオンもいつ撤退するかわからない

家電売場

イオンの家電売場は厳密には別の部署の集合体です。ハードと呼ばれる部署がデジタル家電を担当し、ホームファッションと呼ばれる部署が白物家電を担当し、イオンモバイル(イオンニューコム)がスマホを担当しています。

ハードと呼ばれる部署のデジタル家電はいつ閉鎖になってもおかしくないくらい展開している店舗は少なくなってきています。

白物家電は残るとは思いますし、イオンモバイルも契約者数が伸びているので残るとは思いますが。

なおイオン(当時はジャスコ)は過去に家電専門店(家電量販店)「メガライブ」を展開していましたが撤退、パソコン専門店「J・ZONE」を展開していましたが撤退しています。

見切りをつけた時のイオンの撤退の早さは驚くほど早いです。

家電売場の仕事内容

社員・パート・アルバイトによって仕事内容は変わりますが、一般的な社員とパート・アルバイトの仕事内容です。

家電売場の社員の仕事内容

基本的に社員の仕事は、計画販売と発注等ですが、主な仕事は下記となります。

  • 販売計画の作成(月間・週間)
  • 店で行われる会議への出席
  • 商品部が主催する会議への出席
  • レイアウト作成
  • 商談(主に中小規模のスーパー)
  • 書類関係の仕事全般
  • 演出
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 管理業務(在庫管理 展示品管理 等)
  • POP作成
  • お客さん対応(接客・レジ・販売・修理受付)
  • クレーム処理
  • 清掃業務
  • 他の部署への応援(レジ含む)

一部の家電売場があるスーパーマーケットでは代理店業務を行っている場合もあります。代理店業務とは、光回線の契約だったりウォーターサーバーの契約などです。

1件契約することで数万円の報酬が発生するため10万円・20万円の家電製品を販売するよりも利益が大きいためです。

パート・アルバイトの仕事内容

家電売場はパートとアルバイトの業務内容があまり変わらないことが多いです。また中規模のスーパーマーケットだと家電を担当する社員が1人のみ、もしくはいないということは普通にあり、社員の代行として実質的に社員と同じ内容の仕事を求められることがあります。

ただし一般的なパートの仕事内容は下記のことが多いです。

  • 店で行われる会議への出席(社員不在時)
  • 演出補助
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 管理業務(在庫管理 展示品管理 等)
  • POP作成
  • お客さん対応(接客・レジ・販売・修理受付)
  • クレーム処理
  • 清掃業務
  • 他の部署への応援(レジ含む)

基本的には接客がメインとなりますが、在庫を持っていない家電製品が売れた場合は、メーカーもしくは在庫センターに発注および配達の依頼を行うので、パート・アルバイトでも発注業務が発生します。

家電売場という仕事の将来性や店での貢献度

家電売場という仕事の将来性や店での貢献度をチャート図にしてみました。

家電売場担当の出世度

GMSの場合、最初はどこに配属されても出世度は基本的に変わりません。

ただし家電売場のみに固執してしまうと出世は遠のくかもしれません。家電以外の売場も覚えていかないと出世は厳しいかもしれません。

家電売場担当の転職有望度

同じスーパーマーケット業界では壊滅的に難しいです。

ただし似た業種においても家電のみの知識だと難しいことも多いです。

家電量販店への転職も可能と言えば可能ですが、きちんと家電に対する商品知識を常に磨いておかないと厳しくなってきています。

スーパーマーケットの家電売場は、そもそも家電製品の知識を身につけることにおいて家電量販店よりも難しい状況にあります。上司がそもそも最低限の家電の知識しかないことが多いからです。

なのでせめて「家電製品アドバイザー」は取得しておくことをおすすめします。

また家電量販店も将来性を考え家電を通じたトータルでの販売を考えています。例えば今はスマートホーム(インターネット技術を使い自宅の家電製品や設備をネットワークにつなぎ快適な住環境が得られる家)の提案も出来ないと厳しくなりつつあります。

そのため「スマートマスター」等のスマートホームに関する資格を取得しておくと有利になります。

家電売場担当の大変さ

何を持って大変と見るか?ということもありますが、食品に比べればそれほど大変ということもありません。

ただしクレームの大変さは食品売場以上ということもよくあります。

また値引きの要求がきついのも家電売場ならではの特色です。スーパーマーケットの中で最も利益が少ない売場なのに、最も値引きを要求される売場です。

家電売場担当の面白さ

何に面白さを見出すか?ということにもよりますが、接客して売れたことに喜びを見出だせるのなら面白い職場です。

また家電製品の知識を得ることに面白みを感じる人もいます。

接客の技術を磨くことは転職においても有利に働きます。

家電売場の売上

立地を含めた店舗特性にもよりますが、基本的には足を引っ張ることが多い売場です。

大型家電製品が毎日何台も売れるということはあまりないため、下手をすれば1日の売上が数万円ということもあり、売上よりも人件費の方が高いという日もあります。

平日なんて、電池と蛍光管くらいしか売れないなんてこともありえます。

家電売場の粗利

家電そのものが粗利率が低く、粗利そのものもかなり低い売場です。

以前はまだ記録メディア(CD-RやDVD-R等)などで利益を確保していましたが、記録メディアの売上が壊滅的になってきており、利益を得る手段が限られつつあります。

また記録メディアやインク、コピー用紙などは文具売場(ステーショナリー売場)が担当している場合もあり、家電売場の売上にならない場合もあります。

家電売場の営業利益

家電売場の営業利益はマイナスということも割とあります。

決算期にメーカーからの補填や報奨金でどうにか黒字という場合もよくある話です。メーカーからの補填・報奨金というのは、販売台数に応じて謝礼金・報奨金としてキャッシュバックしてくれる仕組みです。

家電売場の人件費

接客時間が長くなる傾向にある家電売場のため、人員はどうしても必要になってしまうので人件費は高くなる傾向にあります。

でも利益率そのものが低い売場なので、そのまま営業利益を圧迫する売場となっていることが多くなっています。

家電業界の展望

スーパーマーケットの家電売場に関わらず、家電販売の業界の展望を軽く説明しておきます。

家電量販店の市場規模は縮小傾向と予想されている

家電量販店の市場規模は今後緩やかな縮小傾向になると予想されています。一番の理由は少子高齢化による人口の減少が大きな要因です。

もちろん人口減少による売上の減少というのは小売業界だけでなく日本全部で言えることですが、食品や衣料品よりも影響を受けやすいのが家電業界です。

家電がよく売れるタイミングというのは基本的に下記のパターンです。

  1. 消費税等の増税が行われる直前や減税が行われる期間
  2. 壊れた時
  3. 新居に住む時(引越需要が多い3月などが特に多い)

1は普段はそれほど重要視はされていません。2に関してはいつでも起こり得ることです。ただ3人については、新居そのものが住宅資材の高騰や職人の手配が難しいことから地方では作られにくくなっていて、新居自体が増えていないことが大きく家電量販店業界にのしかかってきています。

また企業も守りに入っていて積極的な転勤を行うところは減ってきています。

そのため、どうしても新居に住むタイミングで家電製品を買うという人が減ってきています。

また家電製品をAmazonや楽天市場などネットで購入する人が増えており、家電量販店そのもので買う人が減ってきています。

家電量販店は家電販売の利益よりも代理店売上がメインに

家電量販店に行くと一番いい場所に携帯電話(スマホ)コーナーがあるのが普通になってきていますよね。

これはそれだけ利益を得られるからです。スマホを1台契約すると少なくても数千円、新規やMNPなら1万円以上の報奨金がキャリア(ドコモやau、ソフトバンク等)からもらえます。

仮に20万円の冷蔵庫やエアコンを販売しても利益は多くて2万円、大体は1万円にもならないことが多くなっています。しかも1日に何台も売れる訳ではありません。

冷蔵庫やエアコンを売るよりもスマホ1台を契約してもらう方が利益が出やすいからスマホの販売に力を入れています。

家電製品以外の売場を拡大している

家電量販店が家電以外の売場を拡大していることに気づいている方も多いと思います。

ドラッグストアを入れたり、食料品コーナーを拡大したりしていますよね。

それはとにかく日々の売上と利益を少しでも拡大するためです。

また住宅のリフォームコーナーを作っている家電量販店も増えています。

代理店で1件契約出来れば数万円から数十万円の利益が入ること、リフォーム時に家電製品も売れることから力を入れています。

それだけ利益が厳しいのが家電量販店の現状です。

仕入れルートも変化してきている

20世紀までは家電製品と言えば国内メーカーのものを買うというのが当たり前でしたが、国際的な家電製品の価格競争に負けることが増えてきた21世紀、海外メーカーの取扱が増えてきました。

今までの商習慣が通じない相手も増えていることが家電量販店の問題となりつつあります。

家電販売をしたいのなら

家電を販売したい!ということであれば、スーパーマーケット業界よりも断然家電量販店業界の方が良いというのは、ある程度説明してきた通りです。

もし家電販売をしたい!ということであれば、最初からスーパーマーケット業界は選択肢から外すことをおすすめします。

家電売場に関する補足事項・Q&A

上記で説明してきたこと以外で家電売場に関する疑問点に思うであろうことや補足事項です。

Q
家電売場は利益が出にくいのになんでイオンは続けているの?
A

完全な理由はイオンの上層部しかわかりませんが、考えられるのはGMSの意地だと思います。イオンはGMS(総合スーパーマーケット)という業態にこだわっているからです。

イオンはアパレルにもこだわっていますが、それはイオンが元々も呉服店からの流れで衣料品にこだわりがあるためとも考えられます。

Q
プライベートブランドの家電製品ってどうなの?
A

イオンでもニトリでも、また家電量販店でも家電製品のプライベートブランドを展開してきています。

これは少しでも利益を確保するための戦略ですが、製品としてはそれぞれの製品によるとしか言えません。どこのメーカーが作っているか調べた上で購入されることをおすすめします。知らない無名メーカーの場合はやめた方が良い場合が多いです。

ただ過去にイオンやトライアルなどがプライベートブランドは言わないけど独占的に販売していたAV家電(主に液晶テレビ)はトラブル続出だったので、AV家電はやめておいた方が良いでしょう。

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