ボックスストアは、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、スーパーマーケット・小売業界だと知っておいた方が良い言葉です。
ボックスストアについて
ボックスストアは日本ではあまり成功例を見ない店舗形態です。
ボックスストアとは

ボックスストアとは、梱包材として利用されている段ボールを利用して商品を並べて販売する店舗のことです。梱包材の段ボールの一部を切り取ってそのまま棚において、段ボールから商品を取り出す状態で販売しているのが特徴です。
主にディスカウントストアで見られますが、基本的にはほとんどの商品を段ボールの状態で並べるので、段ボール箱の「箱=ボックス」からボックスストアと呼ばれています。
なおボックスストアとは意味合いが異なりますが、ボックスストアの多くはハードディスカウントストアという小売業態になっていることが多いです。
ボックスストアの別の意味

コストコのように四角の箱上の店舗をボックスストアと呼ぶこともありますが、日本の小売業界では一般的ではありません。
また梱包用の箱やギフトボックスなどを販売する店舗を同じくボックスストアという場合もありますが、意味合いが異なります。むしろ「ボックスストア」という言葉から「箱を売っているお店」と思うことから一般的かもしれませんが、小売業界(主にスーパーマーケット業界)としては異なります。
代表的なボックスストア

日本国内においてボックスストアとして業界的に認識されているのは下記の店舗があります。
- 業務スーパー(株式会社神戸物産・全国区・フランチャイズ制もあり)
- サンディ(株式会社サンディ・関西中心・一部関東と岡山)
- ビッグ・エー(株式会社ビッグ・エー・関東中心・イオンG)
- アコレ(株式会社ビッグ・エー・関東中心・イオンG)
- パレッテ(パレッテ株式会社・神奈川県・イオンG)
- コストコ(コストコホールセールジャパン株式会社・全国区)
灰色の店舗(会社)は一部段ボールでの陳列のため含めましたが、ボックスストアとは言い切れない部分があります。
サンディは、自ら「ボックスストア」と名乗っています。
なおサンディはイオングループの「サンデー」とは全く関係ありません。
ボックスストアは日本ではあまり流行っていない
ボックスストアは日本ではあまり流行っておらず、どちらかと言えば縮小傾向にあると言えます。
イオン系列は関西からは撤退
イオン系列のボックスストアは関東のみです。以前は関西でも展開していましたが撤退しています。
イオン系列のボックスストアは徹底的な人的コスト削減は行っているものの、価格的には安いとは言い切れないこともあったりと他のディスカウントストアよりも価格的に優位に立てていない状況です。
また段ボール陳列が綺麗に見えず、むしろ売場が汚く見えてしまって、購買意欲は減ると思われます。
半ボックスストアが日本では人気
業務スーパーやコストコのように一部で段ボール箱で陳列している、半ボックスストアは人気です。
特にコストコのように陳列に段ボールを使う場合は、段ボール箱の段階から切らずに使えるように設計されており、段ボールを切るという手間が発生しないようにしており、効率化が見受けられます。
サンディは行ったことがないためわかりませんが、売上推移・店舗数を見る限りは順調に見えますが、店舗数が増えて売上が増えていても、実際には自転車操業ということもあるため、正直なところ状況がわかりません。
出店ラッシュが止まったと同時に倒産・規模縮小した小売店は過去にいくつかあります。
ボックスストアのメリットとデメリットからの今後の将来性と就職・転職について
ボックスストアにはメリット・デメリットがあります。またそれに伴った将来性や就職・転職について紹介します。
ボックスストアのメリット
ボックスストアのメリットは、消費者からすれば、安さというのが一番です。運営している側から見た時のメリットは、安さというものが浸透した場合に広告宣伝費が削減出来るという点があります。
また徹底的なコスト削減と同時に割安感を演出して、それが上手くいけば低コストで店舗を運営出来て集客もあまり宣伝費をかけることなく行えます。
ボックスストアのデメリット
ボックスストアのデメリットとしてはお客さんの立場としては、店員が少ないので聞きたいことを聞けないということがあります。
思ったよりも安くないというイメージが持たれてしまうと結局はスーパーマーケットと同じように見られてしまい、チラシを乱発するようになります。
また段ボールでの陳列が陳腐・汚いと思われてしまうこともあり、そう思われてしまうと客離れが進む要因にもなります。
そしてコスト削減のために生鮮食品にはあまり手を出さないため、スーパーマーケットとの差別化が難しいことが挙げられます。
そのためあくまでも品揃えを絞った徹底的な安さによる訴求が必要ですが、安さにおける優位に立てないと悪循環に陥る傾向があります。
ボックスストアの将来性
ディスカウントストアに含まれるボックスストアは、安さを求める人が多い現在の日本においては有望です。
また人件費の高騰から人員を増やせないスーパーマーケットも今後はディスカウントストアに転換していく可能性も考えられます。
しかしインストアパックを展開しないことが多いボックスストアは、スーパーマーケットとの差別化に勝てるのか?という問題もあり、将来性への不安は残ります。
また大量販売・箱売りが多いボックスストアは、少子高齢化と相性が悪い面が強く、そもそも伸びにくい・今からの時代に合わない業態といえるため、将来性はあまりないものと思われます。
ボックスストアへの就職・転職
インストアパックを積極的に行わないボックスストアは、生鮮食品の技術を磨くということが難しい店舗です。
また人件費削減のため人も少なく、人を教育するという環境も整いにくいため、自分自身の成長も難しい業態と言えます。
徹底的なコスト削減ということは学べますが、それが将来の転職に役立つのか、また転職の幅が広がるのか?というと逆に狭くしてしまう可能性の方が高く、あまり就職・転職はおすすめしません。
なにより人件費削減は、店舗に1~2人の社員への負担増で、ブラックな職場になりやすいです。
以上、ボックスストアについてでした。
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