インストア作業・インストアパック・インストア加工

インストア作業・インストアパック スーパーマーケットの専門用語

インストア作業・インストアパック・インストアパッケージ・インストア加工はスーパーマーケット業界でよく使われる言葉です。

スーパーマーケットによって若干の言い方は変わるものの、どういう意味なのか説明します。

インストア作業・インストアパック・インストアパッケージ・インストア加工について

インストア作業・インストアパック・インストアパッケージ・インストア加工、それぞれについて説明します。

インストア作業とは

お刺身の盛り合わせのインストアパック

インストア作業とは、基本的にスーパーマーケットの生鮮部門(水産・畜産・農産・惣菜)で使われる言葉で、店内で調理・加工・包装(パックすることも含む)・値付け 等、調理場や作業場で行う作業のことです。

もう少しわかりやすく言えば、店内でお刺身を作ったり、魚を切り身にしたり、パックに盛り付けてラップで包む作業や惣菜コーナーで惣菜を作ったりお弁当を作ったり、パックに盛り付けて蓋をしたりすることです。

農産売場でキャベツを半分にカットしたりすることもインストア作業です。お肉をスライスしたりすることもインストア作業となります。

また加工して作った商品(食品)に値段や賞味期限が印刷されたラベルを貼る作業もインストア作業となりますが、加工を伴わない商品にハンドラベラーで値付けのためにラベルを貼ることはインストア作業と言うことはほとんどのスーパーマーケットではありません。

GMS(総合スーパーマーケット)だと衣料品の加工(ズボンの裾上げ等)を行う場合もありますが、そういう作業をインストア作業ということもまずありません。

インストアパック

インストアパックとは、インストア作業で作りパックした商品のことを意味します。

もしくはインストア作業でパック詰めする作業のことを意味します。

インストアパックの反対はアウトバックで、プロセスセンターや食品加工会社でパック詰めされて納品される商品のことを意味します。

なおインストアパック=インストアで作られた商品を「インストア商品」ということもあります。

インストアパッケージ

パック詰めされた魚

インストアパッケージとは、基本的にはインストアパックとほぼ同じ、インストア(店内)でパッケージ(包装)化された商品、もしくはパッケージ化することです。

この言葉を使うスーパーマーケットはかなり少ないです。

インストア加工

インストアベーカリー

インストア加工とは、店内で調理・加工をすることです。水産であればお刺身を作ったり、切り身にしたり、惣菜コーナーであれば惣菜を作ったりお弁当を作ることです。

またはインストア作業と同じ意味で使われることもあります。

インストア作業というか、インストア加工というかは、スーパーマーケット(会社)によって異なります。

インストア作業のメリット

インストア作業にはいろいろなメリットがあります。

  • 出来たて・作りたての訴求が出来る
  • 魚介類を中心に鮮度を保てる
  • 他の店との差別化を行いやすい
  • 中小スーパーマーケットを中心に店内商品で加工しやすい
  • 中小スーパーマーケットを中心に売れ残りの処分がしやすい

出来たて・作りたての訴求が出来る

出来立て・作りたてという言葉に惹かれる人が多く、熱々の惣菜やお弁当の訴求や作りたてのお刺身盛り合わせが提供出来ます。

また最近はわざと作業場を見えるようにしているスーパーマーケットも増え、作っているところを見せることでライブ感を出す演出をして、店内製造であることで集客を行うところも増えています。

魚介類を中心に鮮度を保てる

刺身など変色しやすいものも店内で作ればアウトバックに比べれば鮮度を保てるようになります。

農産でも野菜や果物でカットしたところから変色が始まりますが、店内加工ならアウトバックよりも鮮度を保てます。

他の店との差別化を行いやすい

店独自の惣菜やお刺身盛り合わせなどが作れるので、ライバル店・競合店との差別化も行いやすくなります。

またお惣菜やお弁当の味付けで人気になるスーパーマーケットもあり、味付けでも差別化が行えて集客を行いやすくなります。

中小スーパーマーケットを中心に店内商品で加工しやすい

主に小さなスーパーマーケットですが、惣菜コーナーの商品を農産・水産・畜産から集めて店内で加工しやすくなります。結果として店内での商品で作るため粗利率も高くなります。

ただし大手スーパーマーケットだとこのようなことをしているのが稀です。

中小スーパーマーケットを中心に売れ残りの処分がしやすい

主に小さなスーパーマーケットですが、売れ残った野菜や肉、魚を加工して惣菜として商品化出来るので、売れ残りの処分がしやすいということがあります。

ただし大手スーパーマーケットだとこのようなことをしているのが稀です。

インストア作業のデメリット

インストア作業にはデメリットも多く存在します。

  • 作業場や冷凍・冷蔵設備が必要になる
  • 作業する人員、特に加工技術が必要な人が複数人必要となる
  • 光熱費がかかる
  • 設備投資および設備の維持管理費がかかる
  • 売上が低いと、利益が出ないこともある
  • 中小スーパーマーケットを中心に危険性もある

作業場が必要になる

魚を調理するにせよ、惣菜を作るにせよ、作業場および材料を保管する冷凍・冷蔵施設(冷凍庫・冷蔵庫)が必要になります。

作業場を確保するため、どうしても狭い立地には出店しにくくなります。

都市型小型スーパーマーケット(ミニスーパー)では必然的に作業場や冷蔵庫のスペースがあまり取れないため、インストア作業で作る商品は扱わないことになります。

作業する人員、特に加工技術が必要な人が複数人必要となる

お刺身を作る技術は数ヶ月で身につくものではありません。また魚の切り身や2枚おろしにしても売物レベルまでの技術は最低でも半年近くはかかります。

肉のスライスも同様ですし、惣菜の加工でも野菜や果物のカットでも技術は必要です。

そういった技術を持つ人を集めることも必要です。また年中無休や年末年始のみの休みが多いスーパーマーケット業界だけに技術を持った人も順番で休みを取るため1人用意すれば良いということにはならず、作業人員がどうしてもある程度必要になります。

人を集める・そして出来る限り長く働いてもらうことが必要になり人の管理なども大変になります。

また定期的に人を採用して技術を磨いていってもらう必要もあり教育コストも発生します。

水道・光熱費がかかる

何かを作る場合、水(水道)光熱費は必ず必要で大量に作る場合は当然光熱費も増えてしまいます。

水産はかなりの水を使いますし、惣菜コーナーはかなりのガスや電気を使います。

設備投資および設備の維持管理費がかかる

惣菜を作る場合でもフライヤー等の設備が必要ですし、農産や水産では鮮度を維持するための機器(塩水処理機・冷塩水機 等)が必要になります。

また壊れないように定期的なメンテナスも必要になり設備投資や維持管理費が必要になります。

売上が見込めない店舗では最初から設備投資が出来ないため、インストアパックの商品は扱わないという選択になります。

売上が低いと、利益が出ないこともある

設備投資に維持管理費、教育コストを含む人件費 等、インストア作業にはコストが発生します。そのため、売上が低ければ利益が出ないこともあります。

生鮮4部門(農産・水産・畜産・惣菜)のうち1つだけが赤字なら、必要コストとみなすことも出来ないこともありませんが、あまりにも足を引っ張るようなら話は別です。

中小スーパーマーケットを中心に危険性もある

「主に小さなスーパーマーケットですが、売れ残った野菜や肉、魚を加工して惣菜として商品化出来るので、売れ残りの処分がしやすいということがあります」とメリットで説明しましたが、これは同時にデメリットにもなりえます。

というのも万が一食中毒が発生した場合、どの商品が原因だったのか特定に時間がかかりますし、仮に水産品が原因だった場合、水産売場と惣菜売場がしばらく営業停止になります。

大手スーパーマーケットでは、このようなことも想定して、他の部門(水産・畜産・農産)の品を使わないようにしており、万が一食中毒が発生した場合でも、その部門のみの営業停止で乗り切れます。

インストア作業の減少と増加

インストア作業は店舗によっては減少させていますし、店舗によっては増加させています。

インストア作業の減少店舗

水産コーナーのお刺身コーナーで盛り合わせがなく、お刺身と言えば「まぐろのたたき」「イカのお刺身」「しめ鯖」といった商品ばかりという店舗もあります。

これはインストア作業をやめてすべてアウトパックに変更したためです。

また近隣に同じスーパーマーケットの大型店があれば、大型店で作った惣菜を小型店に納品して販売している小型スーパーマーケットもあります。

売上が低いスーパーマーケットほどインストア作業を減らす傾向にあります。

ただインストアパックの商品が減ることで売上が更に減り、悪循環に陥るスーパーマーケットもあります。

インストア作業の拡大店舗

店舗の規模が大きく、売上が好調であれば、インストア作業を更に拡大してインストアパックの商品を拡大することもあります。

インストア商品が人気になって更に売上が伸びる好循環になれば、更に売上も増えていきます。

インストアパックの構成比である程度、その店が好循環になっているのか、悪循環に入っているのかわかることもあります。

以上、インストア作業・インストアパックについてでした。

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