ベーカリー売場の仕事・職務内容と将来性

ベーカリー売場の仕事・職務内容と将来性 食品売場

スーパーマーケットへの就職・転職もしくはアルバイト・パート情報で「ベーカリー売場(インストアベーカリー売場)」の募集を見たけど、日配って何を扱ってどういう仕事をするところだろう?と思った方へ、「ベーカリー(インストアベーカリー)」の仕事・職務内容について詳しく説明します。

ベーカリー売場・インストアベーカリー売場について

ベーカリー売場もしくはインストアベーカリー売場という言葉が登場しだしたのは1980年代からで、スーパーマーケットの中でも比較的新しい売場です。

インストアベーカリーとは

インストアベーカリー売場

ベーカリー売場もしくはインストアベーカリー売場とは、パン売場とは異なり店内でパンを焼き上げて販売する売場のことです。

インストアとは「店内」という意味で店内で作るパンという意味合いで「インストアベーカリー」と呼ばれています。

昔からパンを焼いて販売する手作りパン屋はありましたが、他のスーパーマーケットとの差別化のためにスーパーマーケットが店内でパンを焼くスペースを作り販売し始めたのは1980年代のダイエーからだと言われています。

1990年代に入りイオン等の大手スーパーマーケットが参入してきて、2000年以降は中規模のスーパーマーケットでも行われるようになってきました。

インストアベーカリーの種類

インストアベーカリー

インストアベーカリーは大きく2つに分類出来ます。

  • 後は焼くだけの状態のものをただ店内で焼くだけのインストアベーカリー
  • 店内で小麦から練ってパンを作るインストアベーカリー

焼くだけのインストアベーカリーは人員を少なく出来るため、中規模のスーパーマーケットで見られる業態です。

店内で完全に作るインストアベーカリーは大規模のスーパーマーケットで見られます。

自社運営とテナント運営

インストアベーカリー売場

スーパーマーケットの中にあるインストアベーカリーは大きく2つの形態があります。

  • 自社で運営している売場
  • テナントが運営している売場

自社でインストアベーカリーを運営している場合、食品売場の1つの部門・売場として展開しています。例えばスーパーマーケットの「ライフ」がこの形態です。

テナントが運営している場合は2つに分かれます。

大手スーパーマーケットがインストベーカリーの会社を子会社として作ってインストベーカリー売場を任せている場合と、子会社ではなく完全に別の会社にテナントとして入ってもらっている場合です。

例えば本州のイオンで見かける「カンテボーレ」は、イオンの子会社である「イオンベーカリー株式会社」が運営しています。

また「ドンク」「アンデルセン」「ヴィ・ド・フランス」等の有名なインストアベーカリーの会社にテナントとして入ってもらっている場合もあります。ただしこの場合はただのテナントのため、スーパーマーケットの売場とは言えません。

ここでは、スーパーマーケットの売場の1つとして自社で運営しているインストアベーカリーを中心に説明していきます。

ベーカリー売場の仕事内容

社員・パート・アルバイトによって仕事内容は変わりますが、一般的な社員とパート・アルバイトの仕事内容です。

社員の仕事内容

基本的に社員の仕事は、計画販売と発注等ですが、主な仕事は下記となります。

  • 販売計画の作成(月間・週間)
  • 食品全体・店全体で行われる会議への出席
  • 商品部が主催する会議への出席
  • レイアウト作成
  • 商談(主に中小規模のスーパー)
  • 書類関係の仕事全般
  • 演出
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • POP作成
  • お客さん対応(接客・レジ含む)
  • クレーム処理
  • パン等の製造
  • 清掃業務

スーパーマーケット(会社)によっては、POP作成業務は一切行わない・行わせてもらえない場合もあります。

販売計画は52週マーチャンダイジングという考え方の元、平台でどういう商品を売り込むのか?ということを中心に計画書を作成します。ただし会社本部の指示通りに行うだけの会社もあり、それだと仕事そのものにあまり面白さを感じないかもしれません。

商談は大手スーパーマーケットの場合は、まずすることはありません。むしろ中小規模のスーパーマーケットの方が行います。というのも、大手スーパーマーケットの場合、商談は商品部の仕事であり店舗単位で行うことが禁止されている場合もあるからです。

どうしても商談がしたい場合は、商品部経由で依頼することが多くなっています。

パンの商品開発(新商品)は、中小規模のスーパーマーケットなら社員が行っている(勝手に行っている)場合もありますが、大手であれば本部(商品部)からの指示で作れるものが決まっています。

またベーカリー売場は食品の中では唯一レジ業務が発生することがあります。

また「値下げ・見切り業務」はパンの袋詰めという作業もあります。

パートの仕事内容

パートの仕事内容は、スーパーマーケット(会社)によりかなり異なります。

中規模のスーパーマーケットだとベーカリーを担当する社員が1人のみということは普通にあり、社員の代行として実質的に社員と同じ内容の仕事を求められることがあります。

ただし一般的なパートの仕事内容は下記のことが多いです。

  • 食品全体・店全体で行われる会議への出席
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • POP作成
  • お客さん対応(接客・レジ含む)
  • クレーム処理(一部)
  • パン等の製造
  • 清掃業務

ほとんどはパンを作って並べてレジを行うことになります。

アルバイトの仕事内容

アルバイトの時間帯・契約時間にもよりますが、基本的には社員とパートのフォロー的業務ということが多くなっています。

具体的には下記の仕事が多いです。

  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • POP作成
  • お客さん対応(接客・レジ含む)
  • パン等の製造
  • 清掃業務(製造終了後の全体の掃除を含む)

なお他の売場と兼任で、商品の店出しを兼ねることもあります。

カフェ的な売場の場合も

インストアベーカリーは、店舗によってはイートインスペースがあり、コーヒー等の飲み物を提供し、カフェスペースのようになっている場合があります。

その場合は、コーヒーの提供やカップの片付け等のカフェと同じような業務を行っている場合もあります。

惣菜コーナーと合同の売場の場合もあり

ベーカリーコーナーにサラダなどもおいてある店舗はいくつかあります。またベーカリーコーナーでフライドチキン等のファーストフードでありそうなメニューを販売している場合も。

そういう売場は惣菜・デリカコーナーと合同の売場になっており、惣菜・デリカコーナーと同じグループ・売場として営業している場合もあります。

ベーカリーという仕事の将来性や店での貢献度

ベーカリーという仕事の将来性や店での貢献度をチャート図にしてみました。

ベーカリー担当の出世度

ベーカリーに配属された場合、今後の出世にどれぐらい影響するか?と言えば影響はありません。

たまにスーパーマーケットの食品の花形部署は惣菜売場(デリカ)という人もいますが、それは小型のスーパーマーケットのことであり、中規模~大規模だと関係ありません。

なお上昇志向が強い場合は、如何に売場を目立たせて売上を大きくするか?ということが大切です。

ベーカリー担当の転職有望度

同じスーパーマーケット業界への転職の場合、ベーカリー部門を運営しているスーパーマーケットが少ないため、やや不利です。

しかしベーカリーということなら困ることはないでしょう。

何より独立したいという人にはベーカリーは向いています。ベーカリーコーナーで製造に携わっていて2年経過すれば国家資格である「パン製造技能士」の2急の受験資格を得られます。

会社によっては資格取得を支援しているところもあります。

ベーカリー担当の大変さ

何を持って大変と見るか?ということもありますが、スーパーマーケットの中で水産売場と惣菜売場についで大変だと言われています。

またパンの特性上、発酵を促すためにあまり冷房を強く出来ないということもあり夏場を中心に暑いという声をよくききます。

また食品なので調理をするので手をよく洗うため、冬場はアカギレは普通になります。

ベーカリー担当の面白さ

何に面白さを見出すか?ということにもよりますが、技術を磨くことに面白みを感じられる人なら面白いと思います。

ただ職人的な方向へ進みすぎるとマーケティング的な面白さに興味が持てなくなり、出世が厳しくなるかもしれません。

ベーカリーの売上

ベーカリーは食品の全部門の中で最も売上が低い売場です。

ベーカリー売場だけの売上構成比のデータがないので一概には言えませんが、インストアベーカリーを経験した立場からは、場合によってはお荷物とも思われるかもしれません。

ベーカリーの粗利

ベーカリーは人件費がかかる分、粗利率自体は高くなりますが、売上が小さいため粗利額そのものは低い傾向にあります。

ベーカリーの営業利益

人件費を考えると、営業利益的に赤字のベーカリー部門は多数あると言われています。

専用レジがあり人が多い分、営業利益は出にくい状態です。もちろんよく売れれば黒字にもなりますが、微妙なラインということが多いようです。

ベーカリーの人件費

レジを用意し、パンを作るということからかなりの人件費が必要になる場合が多いです。

この人件費をベーカリー売場だけの経費とみなすのか、集客のためのコストとみなすのかで、会社・店舗での対応も変わってきます。

集客のためのコスト以上に経費がかかるのであれば、ベーカリー売場は閉鎖となる場合もあります。実際にオープン時はインストアベーカリーをしていたスーパーマーケットでも閉鎖している例はいくつもあります。

ベーカリー売場に関する補足事項・Q&A

上記で説明してきたこと以外でベーカリー部門に関する疑問点に思うであろうことや補足事項です。

Q
売れ残ったパンはもらえる?
A

基本的にはもらえません。売れ残りをその売場だけで自由にしていると不公平ということもありますし、故意に残して不正行為を行う可能性もあるため、ほとんどのスーパーマーケットで売れ残ったものは廃棄するようになっています。

ただし、どうしても残ってしまった場合は、味を覚えるために食べろ!という上司は稀にいます。

Q
ベーカリーコーナーの社員になりたいのなら、どのスーパーマーケットが良い?
A

スーパーマーケットというよりは、「ドンク」「アンデルセン」「ヴィ・ド・フランス」「ハートブレッドアンティーク」等の大手インストアベーカリー会社に就職した方が良いです。

または上記ほど有名でなくてもエリアで有名なインストアベーカリーはいくつもあります。

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