HILOは小売業、特にスーパーマーケット業界・でよく使われる言葉です。小売店側から見るとHILO戦略ということもあります。
HILOとはどういう意味で、なぜ行っているのか詳しく説明します。
HILOについて
一般的なスーパーマーケットが行っている価格戦略の1つがHILOです。
HILOとは

HILOとは、High-Low Price を変則的に略したもので、日本語にすれば「高低価格」という意味になります。具体的にはチラシや特売日に応じて価格を下げたり、それ以外の期間では価格を戻す(上げる)価格戦略のことです。
特売などで価格を変動(上下)させることによる集客方法と言えます。
読み方としては「ハイロー」「エイチアイエルオー」「ハイアンドロー」「ハイアンドロープライス」という人もいて、スーパーマーケット(会社)によって異なることが多いです。
なおHILOの反対となる価格戦略がEDLPです。
HILOの具体的な方法

HILOの具体的な方法としては下記のようなものがあります。
- チラシで1日から数日だけ価格を下げる
- 1週間から1ヶ月間だけ価格を下げる
- 特定日に全体もしくは商品カテゴリー別に割引を行う
チラシはわかりやすいと思いますが、特定日に全体もしくは商品カテゴリー別に割引を行うというのは少しわかりにくいかもしれませんね。
例えば、イオンのイオンカード・WAON会員が5%OFFとなる「お客さま感謝デー」、アピタのUCSカード・majica会員が5%OFFとなる「サンキューデー」のことです。
HILOのメリット

HILOのメリットとしては下記のことがあります。
- 来店頻度の少ない、また少なくなったお客さんを呼び込める
- 特売目当てに来たお客さんに他の商品も衝動買い等で他の商品も購入してもらえる
- 特売日に売上を上積みできる
- 予算の消化を行える(販促費等)
- メーカータイアップで販促品・販促費がもらいやすくなる
- 特定日や特定曜日に行うことで売上の山を作れる
- 売れてない商品の消化が行いやすい(処分品を売り切る)
- 普段から安売りしていないので粗利を確保しやすい
- 特売で粗利を減らしても他の物も売れるのでトータルで粗利はプラスになる
- 人員を休ませる日を作りやすくなる
- 会員化を行いやすい
- 割引表示がしやすくなる
クレジットカードや独自の電子マネーを発行しているスーパーマーケットも多いですが、特定の日に特売を行うことでまだクレジットカード会員・電子マネー会員となっていないお客さんに会員になってもらいやすいというメリットが最近だと大きいようです。
会員になってくれれば、どの年代の人がどういう商品を購入しているのかデータが取りやすくなるので、そのデータをもってより細かい販促活動が行えるようになります。
最後の「割引表示がしやすくなる」というのは、常に安く売っている場合、それがその店の通常価格になってしまいます。一旦価格を戻して「2割引・3割引」といったセールを行うと景表法違反となる可能性があります。
例えば冷凍食品を「2割引・3割引」と販売する場合、HILO店でなければ難しくなります。
HILOのデメリット

HILOのデメリットは下記のようなものがあります。
- チラシ等の販促費がかかってしまう
- 特売日以外売れなくなることがある
- 価格の信頼感が失われることがある
- お客さんの値頃感を低下させてしまう
- 特売品以外売れなくなってしまうことがある
- EDLP戦略の店舗に顧客を奪われやすくなる
- 特売前や特売日は人員の確保が必要になる
- 特売品がマンネリ化して飽きられることがある
HILOとEDLPの併用が一般的だけど
HILOのみを価格戦略としている小売業は少なく、EDLPと兼ねた価格戦略をしているスーパーマーケットが一般的です。
一般的なスーパーは価格戦略は併用
イオンにせよ、イトーヨーカドーにせよ、西友やアピタにせよ、ほとんどのスーパーマーケットはEDLPとHILO、2つの価格戦略を併用して行っています。
例えば近くのライバル店に値段を合わせたり対抗するために常に安くしている商品があったり、お客さんを呼び込むために常に安くしている商品群・カテゴリーがあったりします。
スーパーマーケットの上層部で変わる価格戦略
中小のスーパーマーケットではあまり見られませんが、大手スーパーマーケットだと数年おきに価格戦略のメインがEDLPになったり、HILOになったりすることがあります。
その会社で出世をしたいと思う人が上層部になることで、前任者と違うことをして目立ちたい出世欲で変わるためです。
そういう上層部が続くと売場は疲弊してきます。
以上、HILOについてでした。
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