惣菜(デリカ)売場の仕事・職務内容と将来性

惣菜(デリカ)売場の仕事・職務内容と将来性 食品売場

スーパーマーケットの惣菜売場(デリカ)は、社員からアルバイトまでよく募集が行われていますが、実際の仕事や取扱品目にはどんなものがあるのだろう?と思った方へ、「惣菜売場・デリカコーナー」の仕事・職務内容について詳しく説明します。

惣菜・デリカの取扱商品(取扱品目)

最初に惣菜コーナーのことをデリカ・デリカコーナー・デリカ売場ということがあります。デリカの意味を説明した上で、惣菜・デリカの取扱商品・取扱品目について説明します。

デリカとは?

デリカテッセンと書かれた看板

デリカはドイツ語でサンドイッチや持ち帰り用の西洋風惣菜を売る飲食店を意味する「Delikatessen(デリカテッセン)」を略したもので、日本のスーパーマーケット等で「惣菜売場」「惣菜コーナー」のことを意味するようになりました。

ただし日本のデリカコーナーとドイツやアメリカの「デリカテッセン」では意味合いが異なり、海外では「デリカテッセン」がファーストフード店のようになっているところもあれば、コンビニのようになっているところもあります。

惣菜・デリカコーナーの取扱商品(取扱品目)

惣菜・デリカコーナーの取扱商品

惣菜・デリカコーナーの取扱商品は、お惣菜やお弁当、カット調理されてすぐに食べられるサラダ、要冷蔵となるサンドイッチ等のパン類が基本ですが、スーパーマーケットの惣菜・デリカコーナーでも4~6つくらいに分類していることが多くなっています。

  • 揚げ物類:油で揚げて調理するもの
  • 店内製造のお弁当
  • 店外製造のお弁当や惣菜
  • 焼き物:焼き魚等、焼いて調理するもの
  • サラダ・冷製惣菜

スーパーマーケットで差がある惣菜・デリカコーナーの取扱品目

お惣菜コーナー

スーパーマーケットによっては、惣菜・デリカコーナーの取扱商品だったり、取扱商品ではなくなるものがあります。

  • お寿司:水産部門での取扱の場合がある
  • サンドイッチ:パン(日配)の取扱のことがある
  • 鰻(蒲焼):水産の場合もあれば、水産と惣菜の両方での取扱の場合がある
  • サラダ:カップ容器はデリカ、袋容器は農産という場合もある
  • 対面販売は畜産がまとめて行うという場合もある
  • 焼き鳥等の冷凍品は畜産売場の取扱になることが多い

変わる惣菜コーナー

惣菜コーナーと言えばお惣菜やお弁当が並ぶ売場というイメージが強い人も多いと思いますが、最近は中規模・大規模のスーパーマーケットで作るところも見せる(魅せる)売場に変わってきています。

ドラッグストアが惣菜売場を展開するようになってきて、スーパーマーケットも今までと同じ方法では難しくなってきており、売場の改革がいろいろな会社で行われています。

もちろん惣菜売場以外も変わってきていますが、大きく変化しているのが惣菜売場と言えます。

オリジンの惣菜コーナー

イオングループだと惣菜コーナーにオリジンのコーナーを作って差別化をしている場合も。

また自店の惣菜コーナーだけでなく、例えば中華はテナントが行うというように惣菜コーナーで自店とテナントの複合展開をするスーパーマーケットも増えています。

逆に小型のスーパーでは人件費削減のため近隣の同じグループのスーパーマーケットで作った惣菜を運んで、自店では惣菜を取りやめるスーパーマーケットも出てきています。

惣菜・デリカコーナーの仕事内容

社員・パート・アルバイトによって仕事内容は変わりますが、一般的な社員とパート・アルバイトの仕事内容です。

惣菜・デリカの社員の仕事内容

基本的に社員の仕事は、計画販売と発注等ですが、主な仕事は下記となります。

  • 販売計画の作成(月間・週間)
  • 食品全体・店全体で行われる会議への出席
  • 商品部が主催する会議への出席
  • レイアウト作成
  • 商談(主に中小規模のスーパー)
  • 書類関係の仕事全般
  • 演出
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • POP作成
  • お客さん対応(接客・対面販売含む)
  • クレーム処理
  • 惣菜等の製造
  • 清掃業務

スーパーマーケット(会社)によっては、POP作成業務は一切行わない・行わせてもらえない場合もあります。

販売計画は52週マーチャンダイジングという考え方の元、エンド平台でどういう商品を売り込むのか?ということを中心に計画書を作成します。ただし会社本部の指示通りに行うだけの会社もあり、それだと仕事そのものにあまり面白さを感じないかもしれません。

商談は大手スーパーマーケットの場合は、まずすることはありません。むしろ中小規模のスーパーマーケットの方が行います。というのも、大手スーパーマーケットの場合、商談は商品部の仕事であり店舗単位で行うことが禁止されている場合もあるからです。

どうしても商談がしたい場合は、商品部経由で依頼することが多くなっています。

惣菜の商品開発(新商品)は、中小規模のスーパーマーケットなら社員が行っている(勝手に行っている)場合もありますが、大手であれば本部(商品部)からの指示で作れるものが決まっています。

パートの仕事内容

パートの仕事内容は、スーパーマーケット(会社)によりかなり異なります。

中規模のスーパーマーケットだと畜産を担当する社員が1人のみということは普通にあり、社員の代行として実質的に社員と同じ内容の仕事を求められることがあります。

ただし一般的なパートの仕事内容は下記のことが多いです。

  • 食品全体・店全体で行われる会議への出席(社員不在時)
  • 発注業務
  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • お客さん対応(接客・対面販売含む)
  • 惣菜等の製造
  • 清掃業務

ほとんどは惣菜を作ることと店出しがメインとなります。

アルバイトの仕事内容

アルバイトの時間帯・契約時間にもよりますが、基本的には社員とパートのフォロー的業務ということが多くなっています。

具体的には下記の仕事が多いです。

  • 商品の店出し(商品を並べる)
  • 値下げ・見切り業務
  • 廃棄業務
  • 管理業務(在庫管理・冷蔵ケース等の温度管理 等)
  • お客さん対応(接客含む)
  • 惣菜等の製造
  • 清掃業務(製造終了後の全体の掃除を含む)

惣菜・デリカという仕事の将来性や店での貢献度

惣菜(デリカ)という仕事の将来性や店での貢献度をチャート図にしてみました。

惣菜(デリカ)担当の出世度

惣菜(デリカ)に配属された場合、今後の出世にどれぐらい影響するか?と言えば影響はありません。

たまにスーパーマーケットの食品の花形部署は惣菜売場(デリカ)という人もいますが、それは小型のスーパーマーケットのことであり、中規模~大規模だと関係ありません。

なお上昇志向が強い場合は、如何に売場を目立たせて売上を大きくするか?ということが大切です。

惣菜(デリカ)担当の転職有望度

同じスーパーマーケット業界への転職の場合、デリカは募集割合が高いため転職もしやすい部門です。

他業種でも飲食店なら困ることはないでしょう。

何より独立したいという人にはデリカは向いています。デリカコーナーで製造に携わっていて2年経過すれば調理師免許の受験資格を得られます。

会社によっては調理師免許取得を支援しているところもあります。

惣菜(デリカ)担当の大変さ

何を持って大変と見るか?ということもありますが、スーパーマーケットの中で水産売場と双璧をなすくらい大変な職場だと言われています。

冷房が入っているとは言え、真夏に揚げ物をずっとしていると暑さ(熱さ)で大変ですし、調理をするので手をよく洗うため、冬場はアカギレは普通になります。

暑いかと思えばマイナス18度以下の冷凍庫での作業もあったり、身体への負担は大きいです。

惣菜(デリカ)担当の面白さ

何に面白さを見出すか?ということにもよりますが、技術を磨くことに面白みを感じられる人なら面白いと思います。

ただ職人的な方向へ進みすぎるとマーケティング的な面白さに興味が持てなくなり、出世が厳しくなるかもしれません。

惣菜(デリカ)の売上

デリカの売上は一般的な食品メインのスーパーマーケットにおいて7部門の中で約10%くらいとなっています(7部門は下記の図を参考)

スーパーマーケットの基本7部門

売上は7部門の中では下の方です。

青果水産畜産惣菜日配品加工食品非食品合計
16.3%11.4%13.3%10.1%17.9%25.5%5.4%100.0%

*出典:統計・データで見るスーパーマーケット

上記が一般的な食品メインの売上構成比です。

ただしスーパーマーケットは地域性・特異性がかなりあり、店舗によっては加工食品・日配についで3位の売上という店舗も存在します。

出世志向が強いのなら水産や畜産の売上を抜くくらい売上を上げることにチャレンジしても良いでしょう。

惣菜(デリカ)の粗利

デリカは粗利は高めの傾向にあります。というのも加工作業が多く、手間もかかり人件費もかかるので、粗利を高くしないとあまり店舗に貢献出来ません。

平均すると各部門ごとの粗利率は下記のようになっています。

農産水産畜産惣菜日配加工食品非食品
22.80%28.10%28.40%36.60%22.80%19.30%20.50%

店舗ごとの戦略・戦術にもよりますが、基本的にはデリカは粗利を確保する方向のところが多いです。

惣菜(デリカ)の営業利益

人件費を除いても基本的にデリカの利益は大きいです。ただし設備等に一番お金がかかるので、最終的な営業利益は他の部署とそれほど変わらないということが多いです。

惣菜(デリカ)の人件

惣菜を作るのに人数が必要になるため、他の売場よりも人件費は大きい傾向にあります。

その分、売上を確保するために店舗や会社によっていろいろな工夫をしています。例えばアウトバック(プロセスセンター等、店の外で作られた商品)の売上構成比を上げるというのは、どこのスーパーマーケットでもある程度は考えられていますが、差別化も難しい状況です。

惣菜・デリカに関する補足事項・Q&A

上記で説明してきたこと以外で惣菜・デリカ部門に関する疑問点に思うであろうことや補足事項です。

Q
惣菜コーナーに特別手当はないの?
A

他の部署よりもキツいことが多い惣菜売場なので、特別手当(惣菜担当手当や時給のアップ)を出している会社はあります。ただしイオン等、他の部署と同じ給与というところも中にはあります。

包丁で怪我をしたり油ハネで火傷する割合も多いので、本来なら他の部署よりも給与は高くあるべきだとは思います。

Q
デリカがスーパーの花形部署と言われる理由は?
A

一部のスーパーマーケットでは、水産・畜産・農産から材料を持ってきて店内製造している小さなスーパーマーケットがあります。

その時に全部門の商品知識・商品加工知識・その時に何が売れるのか一番理解していないと出来ないからと言われています。

ただし大手は他の売場の商品を使って惣菜を作ることはないので、本当に一部の小さなスーパーマーケットに限られた話です。

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