売変(売価変更)

売変(売価変更) スーパーマーケットの専門用語

売変(ばいへん)は、売価変更の省略形の言い方であり、小売業界でよく使われる用語・専門用語です。

売変(売価変更)について

売変は、小売業でも会社によって意味合いが異なりますが、基本は販売価格(売価)を変更することですが、付随する業務が異なってきます。

売変(売価変更)とは

キャベツと電子棚札

売変(売価変更)とは、販売価格(売価)を変更することです。例えば普段198円で販売しているキャベツをチラシの品として158円に変更するといったように価格(売価)を変更することを意味します。

この価格を変更する行為の一番はPOP・値札(プライスカード)の価格とレジでスキャンした時の価格を一致させるためです。

お客さんに対して表示してある価格と実際の価格が異なるということはあってはならないことですから。

ただし販売価格(レジでスキャンした時の価格)を変更するだけのことを意味する会社(スーパーマーケット)もあれば、それ以外の意味がある会社(スーパーマーケット)もあります。

在庫金額も合わせての売変

チラシ商品としてキャベツを伝票上の売価98円で仕入れたとします。しかし前日までに伝票上では売価128円で仕入れたキャベツが30個残っていたとします。

この時に残っていた128円のキャベツ30個を98円で販売するため帳簿上の在庫金額を変更する行為も含めて売変(売価変更)と呼ぶ会社もあります。

つまり帳簿上は128円のキャベツ30個なので帳簿上の在庫金額は3840円です。しかし98円で販売するので帳簿上の在庫金額を2940円にしなければ、帳簿上の金額が合わなくなります。

だから帳簿上の金額も合わせて販売金額を変えることを売変(売価変更)という会社もあります。

コンビニのローソンやイオン(イオンリテールやイオン東北、イオン北海道 等)がこの考え方です。ただしイオングループでも会社によっては異なり、表示価格だけを変更することを売変という会社もあります。

黒売変

チラシが終了してキャベツの価格98円を翌日からは128円で販売するとした時、売れ残ったキャベツが20個あったとします。

今度は販売価格を98円から128円にするので、残っている分20個の伝票上の価格を変更することになります。これも売変という会社もあります。

ただしこの場合の売変は「黒売変(黒売価変更)」ということがあります。

金額がマイナスになる場合、赤字で示しますがプラスになる場合は黒字で表す商取引等の慣例から黒売変と言われるようになりました。

なお会社によっては通常の仕入れ価格で伝票上は計上して、チラシ価格で販売した分だけを帳簿上の在庫金額から変更するという処理をする会社もあります。ただしこれは公正取引委員会にいうと在庫の資産価値を不適切に処理していると言われることもあり、あまりおすすめした方法ではありません。

また生鮮食品(農産・水産・畜産等)を中心に黒売変を故意に行わないこともあります。これは後述するゼロ売変の処理を面倒で行わなず、そのまま伝票上の計上を行わず廃棄してしまうことがあるため、黒売変を行わず伝票上の在庫売価を少し多めにしておいて、伝票処理を行わずに廃棄してしまう分と相殺するためです。

経験則としてこれくらいなら伝票上の処理をしなくても捨てれるかな?という勘頼りのものとなりますが。

レジでの売変(レジ売変)

スーパーマーケットでよく見かける見切り品の値下げシールですが、これ自体を売変という会社(スーパーマーケット)と言わないスーパーマーケットがあります。

また売変とはいうものの「レジ売変」ということもあります。

これは商品そのものの価格は変わっておらず、レジを通過(スキャン)させた時に初めて価格が変更されることになるため、一般的な価格を変更するということとは異なります。

衣料品のレジにて半額の売場

衣料品売場等で見かける「レジにて半額」もレジを通過(スキャン)させた時に初めて価格が変更されることになり、一般的な売変とは異なるものとなり、レジ売変という会社もあります。

ゼロ売変

食品では半額にしても売れ残ってしまったものや、破損したり傷んだりして販売出来なくなった商品を廃棄します。

しかしたた廃棄しただけでは帳簿上の在庫金額とは異なってきてしまいます。

そのため例えば398円の商品を1個廃棄する場合、398円1個の在庫上の金額を0円に変更します。

帳簿上の在庫金額を0円にして廃棄するため、ゼロ売変という会社もあります。

これは「廃棄処理」という言葉だけでは、ただ廃棄することなのか、それとも帳簿上の金額も0円に修正することなのか区別がつかないため、ゼロ売変という言葉を使っていることが考えられます。

売変の目的

売変(売価変更)の目的は下記のものがあります。

  • 表示金額と販売金額を一致させるため
  • セールス上の戦略のため
  • 利益の最大化のため
  • 帳簿上の在庫金額と実際の在庫金額を一致させるため

表示金額と販売金額を一致させるため

POPや値札(プライスカード)では98円なのに、実際にレジでスキャンしたりスキャンしてもらったら128円であれば、お店は信用を失います。

表示金額と販売金額(レジ通過時の金額)は同じであることは商売では最も大切なことの1つであるため、売変は適切に行わなければいけません。

セールス上の戦略のため

チラシを含めてセールやプロモーションで価格(売価)を変更して販売することはとても大切なことです。

そのために売価変更を行うことはよくあります。

利益の最大化のため

季節商品や鮮度が大切な商品を値下げする時期を間違えてしまうと売れ残ってしまいます。そのため売れる適切な価格に変更して利益を最大化することも売価変更の大切な理由となっています。

商品の処分のために売価変更を行うのも売れ残って廃棄するよりは利益が残るためです。

帳簿上の在庫金額と実際の在庫金額を一致させるため

帳簿上の在庫金額と実際の在庫金額が出来る限り一致しなければ、健全な経営は出来ません。

例えば帳簿上の在庫金額は1億円なのに、実際の在庫金額は棚卸をしたら9500万円しかなかったとしたら、どうでしょうか?

在庫は会社の資産ですが、資産価値(在庫金額)が5%もズレていたら健全な経営をしているとは言えませんよね。

実在庫と帳簿上の在庫金額を一致させるためにも売変は適切に行わなければいけません。

売価変更に関する間違ったこと

売変に関して間違ったことが生成AIによって普通に解説されていることがあったり、間違っていなくても正しいとも言い切れないことがあるので、そのことに関して説明します。

Yahoo!知恵袋の売変

「売価変更とは?」でGoogle検索をすると検索結果上位に「Yahoo!知恵袋」の下記のものが掲載されていることがよくあります。

上記でベストアンサーに選ばれているものは間違いではないものの、帳簿上の金額を含めて売変としている会社にとっては間違いとも言える内容です。

価格のみを変更する場合は「マスター変更」「価格変更」等、異なる言い方をする会社も多くあります。

売変したら元に戻さない?

「売価変更とは?」でGoogle検索した時に「AIによる概要」で「売価変更とは、在庫消化を目的として、商品の価格を下げることです。売価変更の場合、一度変更した価格を元に戻すことはありません。」という内容が掲載されることがあります。

アパレル系を中心にそういう考え方の会社もありますが、スーパーマーケットでは一般的ではありません。

特に衣料品を扱うスーパーマーケットでは靴下・下着などのチラシ商品で通常価格より値下げして販売することもあり、一度変更した価格を元に戻すことはよくあります。

なお一部のアパレル系の会社では「期間限定価格」と「売変」は異なるから、この説明であっているという場合もあります。

以上、売変(売価変更)についてでした。

似た言葉で売体変更がありますが、全く異なるものなので注意してください。

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