アウトバック

アウトバック スーパーマーケットの専門用語

アウトバックはスーパーマーケット業界でよく使われる言葉です。

アウトバックについて

アウトバックはスーパーマーケットの戦略も含めて小さなスーパーマーケットほど重要になります。

アウトバックとは

畜産売場・ほとんどがアウトバック製品

アウトバックとは、スーパーマーケットなどの店舗以外で加工・パッケージングされた商品のことです。またはそのプロセスを意味します。

ただしすべての加工・パッケージングされた商品のことをアウトバックという訳ではなく、店内で加工・生産出来るけど、あえて店舗以外で加工・生産している商品のことを指すのが一般的です。

例えばお肉がスライスされたパックは、店内でスライサーを使い作ることも可能ですが、それをプロセスセンターと呼ばれる物流センターでパッケージングしてもらい、店舗にはパッケージ化された商品(お肉)が納品される場合に、アウトバックと呼ぶのが一般的です。

これはお肉(畜産)だけでなく、水産や農産でも同じです。

例えば農産であれば、玉ねぎやじゃがいもの袋詰は店舗の作業場でも出来ますが、袋詰されたものを納品してもらった方が作業時間の短縮になります。

水産であれば「まぐろのたたき」は店内では作らず、加工会社で作られてパッケージ化されたものを販売しているのが一般的です。

ポテトチップス等のスナック菓子や調味料類、ヨーグルトや豆腐等、メーカーが作ったもので店頭に並べるだけで販売出来るメーカー製品は「アウトパップ」ということはほとんどありません。

一番わかりやすいアウトバックは、コンビニのお弁当やお惣菜です。コンビニ各社のプロセスセンターで作ったものをコンビニ各店に配送しています。

なおアウトバックの逆、店内で製造・パッケージ化している商品をインストアパックと言います。

アウトバック製品を扱う理由

プロセスセンターの様子

店舗毎に肉や魚の加工を行うとすると店舗毎に加工を行う技術を持った人が必要です。そのためどうしても人員が必要になり人件費も増える傾向にあります。

また肉等の塊を保管する場所(冷蔵庫・冷凍庫)、お肉を切ったりパックする人も必ず必要になります。

しかしこれらの作業を外注化することで、人件費も保管場所、加工するために必要な設備も節約することが出来るため、人件費や設備への投資・設備の維持管理費が削減出来ます。

そのためアウトバックは売上の悪い部門や作業スペースを作れない都市型小型スーパーマーケット(ミニスーパー)でよく利用されています。

またわざわざ店舗で作る必要性がない、外で加工・パッケージ化しても鮮度に影響がほとんど出ない商品はアウトバック商品を利用する傾向にあります。

特に肉類は、アウトバック比率が年々高くなっています。肉は水産品や惣菜よりも鮮度・出来立て作りたてというのが重要ではないためです。

アウトバックのメリット

アウトバックにはメリットが数多くあります。

  • 作業場や冷凍・冷凍設備が不要になる
  • 設備投資および設備の維持管理費が不要もしくは安く出来る
  • 作業する人員、特に加工技術が必要な人がいなくても成り立つ
  • 水道・光熱費を削減出来る
  • 自前で作らない分、食中毒等の責任が減る(販売者責任はある)

作業場や冷凍・冷凍設備が不要になる

店内で製造するスペースが不要になったり、多くの在庫(加工前の商品)を保存する冷凍・冷蔵設備が不要になり売場面積を広げたり、省スペースでも出店出来るようになります。

特に都市部で展開する小型のスーパーマーケットであれば売場面積を確保出来るのは売上に直結するため、売場面積の確保は重要な課題です。

設備投資および設備の維持管理費が不要もしくは安く出来る

作業場や冷凍・冷蔵設備にも関わってきますが、店内加工をする場合、設備も必要になります。

揚げ物をするための機械(フライヤー)だけでなく、水産や農産での鮮度を維持するための機器(塩水処理機・冷塩水機 等)も購入しなくて済みますし機械のメンテナンス・維持管理費も不要になります。

初期の設備投資が少ない分、出店のペースを上げられるので、ドミナント展開(特定の地域に集中的に出店する戦略)をしている場合には優位です。

作業する人員、特に加工技術が必要な人がいなくても成り立つ

お刺身を作る技術は数ヶ月で身につくものではなく、魚の切り身や2枚おろしにしても売物レベルまでの技術は最低でも半年近くはかかります。

肉のスライスも同様ですし、惣菜の加工でも野菜や果物のカットでも技術は必要です。

インストア作業を行う場合、そういった技術を持つ人を集めることも必要です。また年中無休や年末年始のみの休みが多いスーパーマーケット業界だけに技術を持った人も順番で休みを取るため1人用意すれば良いということにはならず、作業人員がどうしてもある程度必要になります。

人を集める・そして出来る限り長く働いてもらうことが必要になり人の管理なども大変になります。

また定期的に人を採用して技術を磨いていってもらう必要もあり教育コストも発生します。

しかしアウトバックをメインにすれば作業人員・加工技術を持っていない少人数で店舗を回せるようになり、人件費の面でも節約出来ます。

また店内加工を一切行わないのであれば「食品衛生管理者」を置く必要性もないため、この部分でも人件費を削減出来ます。

水道・光熱費を削減出来る

店内で商品を作る場合、水道・光熱費がかなりかかります。

しかしアウトバックにすれば水道・光熱費をかなり削減出来ます。

自前で作らない分、食中毒等の責任が減る(販売者責任はある)

店内で加工をしないため、店内で食中毒を発生させる心配はほぼなくなります。

もちろん販売者責任は伴いますが、衛生管理の手間は全く違ってきます。

アウトバックのデメリット

メリットがあればデメリットも存在するので、アウトバックのデメリットも当然あります。

  • 出来たて・作りたての訴求ができない
  • 販売出来ない商品が多くなる
  • 他の店との差別化を行いにくい
  • 売れ残りの処分が行いにくい

出来たて・作りたての訴求ができない

出来たて・作りたてという訴求が出来ないため、訴求方法が限られてしまいます。

割と出来たて・作りたてだから買うという人は多いものです。

販売出来ない商品が多くなる・大きな売上にならない

お刺身の盛り合わせや出来たて惣菜・お弁当といった商品が作れないため、販売出来る商品が多くなってしまいます。

結果として大きな売上を作ることが出来ません。

アウトバックメインということは、売上を拡大していくことが難しくなります。

また魚でも加工していない生魚を扱うことも難しくなります。生魚を店内でおろして販売することが難しいため、水産売場でも扱える商品が減ります。

他の店との差別化を行いにくい

外で加工・製造した商品を扱うということは、近隣のスーパーマーケットも同じ、もしくは類似の商品を扱えるということになり、他の店(ライバル店・競合店)との差別化が行いにくくなります。

お刺身の盛り合わせを買いたい人に、いろいろなお刺身の盛り合わせを用意するというのは他の店との差別化が行えることになります。また独自の惣菜を作って販売するというのも差別化になります。

しかしアウトバックでは差別化を生み出すのは非常に難しいです。

売れ残りの処分が行いにくい

中小のスーパーマーケットの話になりますが、余った(売れ残った)野菜や魚、お肉などで惣菜を作ることをしている場合があります。しかし加工する場所がないので、そういった商品を作って売れ残りの処分を行うということが出来なくなります。

値下げでしか売り切ることが出来なくなり、廃棄商品が増える可能性も高まります。

また売体変更も出来ないことになり、処分が行いにくくなります。

アウトバック商品のみを扱うスーパーの増加

アウトバックを扱うことでメリットもデメリットもありますが、大都市の都心部を中心にアウトバック商品のみを扱うミニスーパーの店舗数は増え続けています。

イオンの「まいばすけっと」は拡大中

東京・神奈川・埼玉・千葉・札幌で店舗数が増えている「まいばすけっと」は基本的にアウトバックのみを扱うミニスーパーです。

コンビニよりは生鮮食品や日用消耗品の扱いが多く、コンビニしか選択肢がなかった人にはかなり便利な店舗です。

アウトバックにすることでコンビニ程度の広さでも出店出来ることで、店舗数を増やせる要因にもなっています。何より都心部だとコンビニが増えすぎた結果、コンビニと差別化出来ていることで優位な立場になっています。

アウトバックを部分的に取り入れるスーパーマーケットも

ほとんどのスーパーマーケットは、アウトバック商品も部分的に取り入れることで利益の拡大を狙っています。

水産においては、まぐろのたたきや一部イカやタコのお刺身をわざわざ店内で生産する意味はあまりないので、店内で生産するもの・アウトバックを利用するものを分けて展開しています。

惣菜にしても、サラダカップなどはアウトバックでもそれほど大きな差は出ないため、サラダ類はアウトバックのみというスーパーマーケットも多くあります。

またお肉が売れないエリアでは、畜産はアウトバックのみに切り替えて販売しているというスーパーマーケットも存在します。

インストアパックとアウトバックは共存出来るものです。

以上、アウトバックについてでした。

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